内閣総理大臣 石破 茂 様
全国的な鉄道ネットワークのあり方に関する特別要望
令和7年4月9日
北海道知事 鈴木 直道 青森県知事 宮下 宗一郎
岩手県知事 達増 拓也 宮城県知事 村井 嘉浩
秋田県知事 佐竹 敬久 山形県知事 吉村 美栄子
福島県知事 内堀 雅雄 栃木県知事 福田 富一
群馬県知事 山本 一太 神奈川県知事 黒岩 祐治
新潟県知事 花角 英世 富山県知事 新田 八朗
石川県知事 馳 浩 福井県知事 杉本 達治
山梨県知事 長崎 幸太郎 長野県知事 阿部 守一
滋賀県知事 三日月 大造 京都府知事 西脇 隆俊
兵庫県知事 齋藤 元彦(代表) 奈良県知事 山下 真
和歌山県知事 岸本 周平 鳥取県知事 平井 伸治
岡山県知事 伊原木 隆太(代表) 広島県知事 湯﨑 英彦(代表)
山口県知事 村岡 嗣政(代表) 徳島県知事 後藤田 正純
香川県知事 池田 豊人 愛媛県知事 中村 時広
高知県知事 濵田 省司
【基本認識とJRの表明】
主にJR各社が担う全国的な鉄道ネットワークは、国土強靭化や地方創生をはじめ、国土の均衡ある発展などの観点から、全国で公平に安定して確保されるべきユニバーサルサービスとしての役割を担う重要な社会インフラであり、地域の活性化に重要な役割を果たしているが、近年、全国各地で利用の少ない線区について、複数のJRから存廃を含めたあり方の検討が求められている。
【国土のあり方を見据えた鉄道ネットワークの位置づけ】
ローカル線は、中山間地域をはじめとする地方の公共交通を支えており、路線が一部でも廃止されると地域社会の衰退につながりかねない。
特に中山間地域は、国土の保全などの多面的機能を持ち、都市機能を補完する役割を有しており、こうした地域を将来にわたって持続可能な社会としていくことが国全体の活力の維持・発展につながるものと考えられる。
また、東日本大震災や阪神・淡路大震災など過去の大規模災害時においては、鉄道のネットワークが、貨物輸送や代替ルートとして大きな役割を果たした。
これらの視点を持ち、国において、鉄道ネットワークのあり方を整理することが重要である。
【国鉄改革の経緯と現在のJRの経営状態】
一方、JR各社は、国鉄の分割民営化による発足時、多額の国鉄長期債務を切り離して国民負担とするほか、事業用固定資産の無償継承や経営安定化のための国費投入が行われ、会社全体の経営の中で内部補助によりローカル線を維持していくものとされた経緯がある。
また、JR東海を除く各社は、ローカル線の赤字額を公表しているが、その額を踏まえてもなお、令和5年度の経常黒字が、JR東日本は2,966億円、JR西日本は1,673億円となるなど、巨額の利益を計上している一方、分割民営化当初から経営が危ぶまれていたJR北海道やJR四国は、経営安定基金を活用した事業継続スキームによる路線維持が困難になっており、JR各社を取り巻く環境は大きく異なっている。
こうした国鉄改革の経緯と現在のJR各社の経営状態を踏まえ、国として、JRが担うべき鉄道ネットワークのあり方を示すことが重要である。
【国の負担のあり方】
ローカル線のある中山間地域等においては、自治体の財政規模が小さく、自治体の負担によるローカル線の継続・維持には限界があることから、国鉄改革の経緯を踏まえ、JR各社が不採算路線から撤退又は事業構造を変更し、その負担や路線維持の責任を一方的に自治体へ転嫁してはならないものと考える。
そのため、ローカル線の維持に向けて、JRローカル線の運営に係る国の財政支援や利用促進への協力を含め、国鉄改革の実施者である国の責任や負担のあり方を明確にすることが重要である。
【鉄道施設の自然災害からの速やかな復旧について】
近年、気候変動の影響等により豪雨や大雪等の自然災害が激甚化・頻発化しており、全国各地の鉄道路線が被災しているが、周辺の道路などの公共土木施設と異なり、鉄道の復旧が進まない事態が生じている。
これは、JRが復旧費用と採算性からみて単独での運営を前提とする復旧は困難であるとの姿勢を示していることに加え、社会インフラである鉄道ネットワークの考え方を国が示していないことが要因の一つと考えられる。
特に、交通手段が限られる中山間地域等においては、ローカル鉄道の被災路線の復旧が一日も早くなされることが重要である。
ついては、次の4点について、国の責任において早期に議論し、考え方を示していただくよう要望する。
記
1 地方創生2.0の推進や大規模災害時のリダンダンシーの確保等の国土強靱化はもとより、持続可能な中山間地域づくりの観点も踏まえ、将来の国のあり方を見据えた鉄道ネットワークの位置づけを明らかにすること。
2 国鉄改革時に、債務の切り離しや経営安定化に伴う国費の投入や事業用固定資産の承継などを受け、会社全体の経営の中で内部補助によりローカル線を維持していくことが基本とされた分割民営化の経緯や、現在のJR各社の経営状況を踏まえ、ローカル線の維持に関する内部補助の考え方を示すこと。
また、JRの内部補助による路線の維持が難しい場合、その負担を地方に転嫁するのではなく、路線の維持に係る国の責任のあり方を示すこと。
3 広域的な鉄道ネットワークの活性化に向けて、国として、県、市町村、地域等が行う、ローカル線の利用促進や地域での活用を推進する取組への支援を行うこと。
また、鉄道事業者に対し、こうした取組に協働して取り組むよう働きかけること。
4 被災した路線について、早期復旧のため鉄道事業者及び地方に対し更なる支援を行うとともに、災害を契機として、沿線自治体の意向を十分尊重することなく、鉄道事業者側の一方的事情により、安易に存廃や再構築の議論を行わないよう、国の責任においてJRを含む鉄道事業者に対し厳格な指導を行うこと。
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