第66回国会衆議院運輸委員会における、日本国有鉄道に関する小委員会の全文をアップさせていただきました。
この時期は、マル生運動に関連して、野党からも厳しい批判を受けているときで、不当労働行為があったと認めるものの一転して、規律の確保は重要で有るとして、新聞に残話を発表したことが、変心ではないかと追求されることとなるのですが、その中で国鉄のローカル線問題などをどうするのかと言うことが改めてクローズアップされています。
併せてご覧ください。
国鉄労働運動史になります。
以下は、国会議事録の詳細になります。
66-衆-運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会-3号 昭和46年10月13日
昭和四十六年十月十三日(水曜日)
午前十時十七分開議
出席小委員
小委員長 徳安 實藏君
宇田 國榮君 加藤 六月君
關谷 勝利君 古屋 亨君
箕輪 登君 内藤 良平君
松本 忠助君 河村 勝君
小委員外の出席者
運輸委員長 小峯 柳多君
運輸省鉄道監督
局長 山口 真弘君
日本国有鉄道総
裁 磯崎 叡君
運輸委員会調査
室長 鎌瀬 正巳君
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十月十三日
小委員久保三郎君及び内藤良平君同月十一日委
員辞任につき、その補欠として久保三郎君及び
内藤良平君が委員長の指名で小委員に選任され
た。
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本日の会議に付した案件
日本国有鉄道に関する件
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○徳安小委員長 これより運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会を開会いたします。
日本国有鉄道に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。松本忠助君。
○松本(忠)小委員 私は去る九月十日に開会されました当小委員会におきまして初めて発言をいたしました。その発言の内容についてくどくどしく再度申し上げる必要もございません。要は、国鉄再建の基本的な問題をもっともっと協議したい、各党間の意見も出し合って煮詰めたい、そして四十六年度の予算が昨年の年末押し迫った時点においてきまったあのいきさつを思い浮かべて、再びあの愚を繰り返したくない、こう思うわけでございます。鉄監局長も当日答弁の中で、四十六年度の予算については私が指摘したとおり、そのとおりだと言っております。鉄監局長の言として、正直申し上げて償却前収支とんとん、それも非常に無理をしたとんとんで、びほう的、暫定的な予算を組んだわけで、とのままの姿では今後の国鉄の財政の維持、立て直しはできない、どうしても四十七年度予算は抜本的対策を立てなければならないと、まことに正直にそして勇気ある発言があったわけでございます。私は鉄監局長の発言に非常に感服をしているわけです。
また総裁も、その鉄監局長の発言のあと、引き続いて答えられました。すなわち、幸い運輸省当局その他が、七月ごろから各般の面でいろいろ具体的な検討を進めてくれているが、大蔵省と事務的な話に乗る段階でないので、広い範囲にわたって国鉄の現状を訴えている、そしてある時期に予算編成並びに今後の再建の基礎をつくりたい、去年のような予算では責任を持って運営することができない、こうはっきりと言われているわけです。二度とああいう予算の繰り返しをしていただきたくない、こういう意味において各方面の御協力、御支援をお願いしている、こういう趣旨の御発言が総裁からあった。運輸省当局といたしましても国鉄自身としても、昭和四十六年度の予算決定のいきさつ、これをともども当日述べられました。はっきりと真意を述べられております。それだからこそ私はこの小委員会が各党の御賛成を得て設置せられた、こう思うわけでございます。やはりいまこそ四十七年度の予算の編成にあたって、何としても早く結論を得て国鉄再建を軌道に乗せる責務がわれわれにあると私は思うのです。きょうの新聞に、運輸省が国鉄の再建案について十三日に自民党筋に説明をするというようなことが載っております。思い切った処置がかなりとられていることに私は非常に興味を持ってこの新聞記事を読んだわけでございます。先ほども私申し上げましたけれども、どうか各党からもそれぞれの意見を出し合っていただきたいと思うのです。わが党からも前回概略考え方を申し上げましたけれども、もう少し煮詰めた線を出して、そして見解を申し上げてみたいと思っております。赤字線の問題にしてみても、あるいはまた新線建設の問題にしてみても、あるいは関連事業の問題にしてみても幾つかの問題がございます。それらの問題一をその種目ごとといいますか、協議を進めていく、こういう方法をとってはどうかというふうに再度御提案をするわけでございます。また国のほうからも日本国有鉄道という名に恥じないような扱いをしてもらいたい。国が大幅な財政援助をして国鉄がその使命を十分達成できるようにしてやらなければだめだと私は思います。そこで、私の前回の発言について各党からの御意見を承りたいと私は思うわけでございます。なお前回運輸省、国鉄からはそれぞれ、私が先ほど申し上げましたような内容の答弁があったわけでございますので、各党からの御意見を今後機会を見て、どういう方法でやるかについては御協議をしていただいて、そして逐次取り込んでいかなければならない。そうしていただければ私は非常に幸いだと思うものでございます。
そこで、この問題はそれぐらいにしまして、次にいま一番の問題になっているところのマル生の運動についてお伺いしたいと思うわけです。衆議院におきましても社会労働委員会あるいは法務委員会、こういうところで問題が取り上げられました。問題はほとんど出尽くしておりますので、二、三の点についてのみ伺いたいわけでございますけれども、総裁、まずお伺いしたいことは、一昨十一日に談話を発表されております。私もその談話を新聞で見させていただきました。またプリントも見させていただきました。いろいろと検討いたしてみました。総裁が去る八日公労委から発せられた命令を受諾し、かつ実行すること、このように談話の中で言われております。百八十度の急転回を行なったわけでございまして、この勇気を私は一応評価いたしたい。国鉄の不当労働行為、この事件で公労委が国鉄当局に陳謝命令を出したのは、私の記憶では昭和三十五年以来今回の静岡鉄道管理局事件で四回目だと記憶いたしております。過去三回の事件では、国鉄当局ではいずれも不当労働行為ではない、こういって不服だとして訴訟に持ち込んでおります。今回は、八日の時点の国鉄総裁の考えと十一日のお考えでは、時間的には七十数時間でございますけれども、たいへんな相違がある。急転回が行なわれておる。この点について私はどうして総裁がそのような心境の変化を来たしたのか。いま、国鉄の労使の関係、この紛争問題は全国各地の職場で展開されている。労使とも引くに引けないどろ沼に落ち込んだ様相ではないかとも思っております。大きな社会問題化しているということもいえると思います。言うならば労使が従来のメンツにこだわり過ぎていたのでは解決のめどがあり得ないと思うのでありますけれども、当局が静岡鉄道管理局の事件を不当労働行為と認めて陳謝するということになったということで、一応訴訟には持ち込まない、こういうふうになったと思います。しかしながら、これで労使の紛争が解決したとは思えないわけです。私は根本の解決法、これをやはり考えなければいけないんではないかと思うのです。このような事件を生み出したマル生運動そのもの、これをやめなければ根本的解決にはならないと私は思うのですけれども、この点総裁はマル生運動そのものを今後もお続けになるという御意思があるようにも伺っておりますけれども、その考え方は現在でも変わりがないのかどうか、この点をひとつ最初に伺いたいわけです。
○磯崎説明員 最近の生産性運動その他に関連いたしましていろいろ御心配をかけたこと、たいへん申しわけなく思っております。
さて、去る八日に公労委からその問題について命令が発せられまして、それに対していろいろ考え方があったわけでございます。八日の時点にはいろいろな原因で、ほとんど私があの命令を読み、あるいは検討する時間的余裕が全くなく新聞記者会見をいたしましたので、あの八日における問題はともかくといたしまして、その後九日、十日といろいろ考えました結果、一昨日のような発表になったわけであります。その意味で、どうしてそう変わったかということについての私どもの考え方を率直に述べさせていただきます。
いまや国鉄はちょうど百年、きょうがいみじくも九十九年目の最後の日に当たるわけでございます。まあ前途に、けさの新聞に出ておりますように、新幹線の建設、これもおかげさまで、東北、上越の私どもの工事計画がきまりまして、いよいよ昨日大臣に工事計画をお出しするというふうに、前途に輝やかしい未来を見出しながらも、実際の現実は、いま松本先生がおっしゃいましたように、財政問題を含めまして非常に、有史以来の難局に直面していると私考えます。私は責任者といたしまして、従来とも微力を尽くしてまいりましたけれども、昨今の状況と申しますのは、この財政状態が全然よくなる見込みがない。あるいは新聞等におきます世論、それは何も新聞が悪口を書くという意味の世論でなしに、全般的な国鉄に対する考え方、国民の感じ、そういった状況にかんがみまして、ここであらためて、原点に立ち返るということばがございますが、そういう気持ちでもって??原点とは何かと申しますと、国鉄法並びに公労法の第一条に両方書いてございますけれども、企業を健全に発展させて、そして公共の福祉の増進と擁護をはかる、公共の福祉を守るんだということが両方の法律の第一条に明白に書いてございます。これを原点といたしまして、その原点に立ち返りまして、結局、要は国民あるいは国会の皆さま方の御声援、御支援を得るのでありますけれども、そのものとはやはり四十数万の職員の各自の、めいめいの信念と自覚の喚起以外にはない。そしてそれをもとにしまして国鉄の再建をはかるという決意を私は新たにいたした次第でございます。こういう広い立場に立ちまして、すなわち公労委の命令が一件一件どうだこうだということではなくて、広い立場、高い立場に立ちまして、私は過般の命令を受諾し、かつ実行することにしたわけでございます。これまで生産性運動というものはきわめて純粋なものでございまして、この純粋な生産性運動が、いわゆる過般認定されましたような不当労働行為によりまして歪曲して理解されたような事例があったことは非常に遺憾であります。と申しますことは、逆に全く不当労働行為と関係ない職員の自覚、信念に基づいた生産性運動がたくさん起きております。そういうものが不当労働行為によって歪曲されて、生産性運動全体が不当労働行為であるかのごとき取り扱いを受けることは私はたいへん遺憾でございます。まして生産性運動というものに名をかりまして不当労働行為を行なうということは許されないことである、これは当然なことであると思います。本来国鉄におきます生産性運動は、御承知のとおり組合が三つ、並びに組合に加入していない職員も相当ございます。そういった者の何と申しますか共同の意識をもとにしなければならないというふうに考えますが、共同の意識と申しますのは結局国鉄職員としての意識というものに帰着するのではないかというふうに思います。したがって国鉄職員としては当然国民への誠意と国鉄への愛情を持たなければならない。これは何人も疑わないところだと思いますが、その二つのものを基調とするものであって、それはあくまでも、先ほど申しましたように職員各自の信念と自覚によってのみ発展させなければならない。強権を発動したり力でもってやるというふうなことではなしに、職員自身の信念と自覚によらなければならないというふうに思います。しかしながら四十数万という非常に大きな世帯でございますし、したがって動き出すには若干の日にちが要ると思いますが、私は私自身の責任におきまして全力をあげて労使双方の不信を払拭してまいりたいというふうな気持ちでございます。
昨日もすでに組合の幹部と会いましていろいろな話をし始めたところでございますが、今後具体的にどうするかの問題は一応別といたしましても、十分職員全体の意向がつかめるような立場でもってこの問題に取り組んでまいりたいというのが私の気持ちでございます。
○松本(忠)小委員 総裁が十月十一日の談話を中心として、いま所信についてのお話がございました。一応総裁の御意見として私も伺っておきますけれども、私は一応もう一度国鉄当局に反省を望みたいと思うのです。
いわゆる本来の生産性運動というのはどういうものであろうか。国鉄の生産性運動??マル生運動が本来のマル生運動から逸脱しているのではなかろうかという疑問を私は持っておるのであります。本来の生産性運動というものは成果の配分、労使の協議、完全雇用、こういうことが原則ではなかろうかと思うのです。総裁は、十一日の談話の中でも本来国鉄における生産性運動は国民への誠意と国鉄への愛情を基調とするものだ、いまもお話がありました。それはあくまでも職員各自の信念と自覚によってのみ発展させなければならないと考える、こういうお話です。ですけれども、何かわかったようなわからないような、まことにじょうずな言い回しで職員の方に対する精神運動を進めている。一方的に押しつけた精神運動、こういうふうに私は思うのですけれども、それではならないと私は思うのですね。労使協議という問題は何よりも大事なことだと思います。話し合いが持たれなかったところが今日問題をこんなにこじらせてしまったのだと思う。いまも総裁のお話の中で、山田副総裁と国労の委員長の対談に触れられておりましたけれども、やはり労使相互の不信を払拭する。確かに不信があったわけですけれども、これを払拭すること、不信感を一掃すること、これは何よりも大事だと思います。そういう意味においてさっそくきのう山田副総裁が国労の最高幹部に会われたというととはたいへんけっこうなことだと私は思うのです。対話を開始した、非常にけっこうなことだと思うのであります。しかしながらやはりことしの春闘、五月二十日以来百四十数日話し合いがなかった。こういう点を私はやはり責めなければいけないと思うのですね。今後は不当労働行為をしないようによく指導するというふうに下部に徹底するというようなお気持ちも新聞で拝見いたしました。確かにいままでは不当労働行為はやらない、下部に対しても指導する、こう言われていながら現実には今回の公労委の命令に服して陳謝することになったということは、不当労働行為があったということをみずからお認めになった、こういうことでありますから、言うならば、組合側が言うところの、当局の言うことは全く信用できない、こういう言い分を私たちも認めざるを得ないわけです。今後国鉄がマル生運動をやめないで続けるというならば、絶対に不当労働行為をしないということを具体的な施策をもって示すべきであろうと私は思うのです。いままでも何べんも何べんもやらないやらないと言っていながら、それを言いつつやってきた。そのことをはっきりと今度は認めた、こういうことになれば、総裁が今後やらないということをもう誠意をもって具体的に示さなければ私は信用できないと思うのです。もしそれができないならば、やはりマル生運動そのものを中止すべきであると私は考えるのですけれども、この点いかがでしょうか。
○磯崎説明員 いわゆる生産性運動に名をかりた不当労働行為あるいはその不当労働行為によって生産性運動を歪曲するということは許されないことだと私は考えます。したがいまして、今後の問題でございますが、やはり多少時間をかしていただいて実績で見ていただく以外にない。先ほどおっしゃいましたようにやらないやらないと言ったってやるじゃないかというふうなことになりますと、それじゃどうしたらいいかということになりますので、やはり私どもといたしましては種々の会議を持ち、打ち合わせ会を持ち、また組合との間に十分パイプを通じるというようないろいろな具体的方策でもって私自身の考え方を下部に徹底的に浸透さすといろ以外に方法はないというふうに考えます。したがって若干の時間が要ると思いますけれども、一歩一歩、来週でもまず第一に管理局長会議を開いてその私の趣旨を十分説明する、誤解のないように説明するというふうな方法をとる、あるいはその次の下の部長を呼ぶ、あるいはその下の課長を呼ぶというふうにして徐々に浸透させていくという方法をぜひとってまいりたいというふうに考える次第でございますが、まだ具体的な方法につきましてはいろいろ考えておる最中でございまして、やはりどうやったらこの私の気持ちが下部職員にまで、下部の管理者に徹底するかという徹底のさせ方にあるというふうに思いますので、具体的な方法については、もう少し適当な新しい方法があればそれを使っていきたいというふうに考えておる次第であります。
○松本(忠)小委員 総裁の苦衷もわかります。そしてまた時間がなければこれも徹底しない。膨大な組織でありますから十分時間をかけてやらなければいけないとは思いますけれども、やはり私はある程度この時点において総裁がはっきりとそういうことを意思表示をするということが大事だと思うんです。いつまでもいつまでもそれができないできない、時間をかしてくれかしてくれというようなことで逃げていたんでは、やはりこの問題の解決はできないだろうと思います。どうかひとつ総裁の勇気をもって、まず第一番目にこの労使間の不信を払拭して、ほんとうに手を取り携えて国鉄再建に邁進しようという姿勢をみずから示していただきたい、こう思うわけです。
それで、国鉄御当局に再度お伺いするわけでありますけれども、むずかしいことを言うわけではありませんけれども、憲法の第二十八条のいわゆる勤労者の団結権あるいは団体交渉権その他の団体行動権に基づいて労働組合法第七条には使用者が労働組合運動を妨害してはならないということを具体的に規定しているわけです。今回の公労委の認定はいずれも組織切りくずしなどの支配、介入禁止の条項に触れている、こうしてあるわけです。それからまた九月の十四日の札幌地方裁判所では不当労働行為を行なってはならないという仮処分の決定をしております。このようにこれらの国鉄当局の行為は憲法を無視した行為だと私は思うんです。当局はそのように認識をなされていないのかどうか、この点を一つまず伺いたい。それからなお国労、動労から公労委に出しているところの残りの七十九件の救済申し立ての内容も、聞くところによりますと今回の六件と同様のケース、そのほかに昇給、昇格などの徹底的な差別を受けているものだということが聞かれるわけであります。そうなりますと、次々と公労委から陳謝命令が出てきた場合に、単に陳謝陳謝の繰り返しで済まされるのかどうか重大な関頭に立たされていると私は思うんです。国鉄当局のお考えを再度お伺いしておきたいわけであります。
なお鉄監局長に伺いたいのでありますけれども、いままでの国鉄のマル生運動について国鉄から報告があったのかなかったのか、またこのマル生運動について、その行き過ぎといいますかそういう点に気がつかなかったのか、公労委から裁定があるまでに運輸省として打つべき手はなかったのかどうか、打たずに手をこまねいていても差しつかえなかったのかどうか、対策について全然考えなかったのか、こういう点について私は鉄監局長に大臣にかわって弁答をしてもらいたいと思うのです。
○磯崎説明員 憲法に保障されました労働者の団結権につきまして、それを私のほうが否定するとかなどということはできないことは当然でございます。もちろん不当労働行為をやったといわれた個々のケースにつきましても、そういう認識のもとにやったのではないというふうに確信いたしておりますけれども、結果的に見ていまおっしゃったような支配の介入あるいは差別待遇とかいうことになりますと、これは憲法に違反したことになる。これが公労委の命令の基調だというふうに考えます。したがって、私どもといたしましては合法的な労働運動である限り当然憲法に保障されたものだ。しかしながら逆に公労法でもって否定されたストライキならストライキをやるという際には、その限度においては私は違法性を持つというふうに考えます。したがって、違法なストライキをやるからその組合が全部違法だというふうには必ずしも思わない。その辺憲法の問題といたしましては私はあくまでも団結権というものは当然あるのだし、使用者はそれを妨害してはならない、これは当然だと思いますが、違法な面につきましては私ども責任者といたしましては違法な行為をしてはならないというふうに言うべき義務があると考えるわけでございます。
それから陳謝の問題でございますが、これからどういうふうな公労委の命令が出てくるかまだわかりませんけれども、今後の見通しといたしまして、これと似たようなケースがあるということも考えられます。その際に私どもとしてどういう態度をとるかにつきましてはやはりその場その場でもって、ケース・バイ・ケースでもって適当な措置をとるべきであるというふうに考える次第でございまして、もうしばらく事態の推移をながめるというふうな考え方でございます。
○山口説明員 国鉄の生産性運動につきましての一般的な内容等につきましては国鉄当局からそのつど報告を受けております。また、不当労働行為事案等、具体的な問題になりましたことにつきましても同様に国鉄から一応の報告を受けております。ただ労使間の具体的な問題につきましては、行政機関といたしましてはできるだけこれに介入することを避けて両者相互の良識ある措置に待つというたてまえでございまして、特に不当労働行為につきましては政府でなく第三者機関としての公労委がこれを担当し、そしてこれが審問あるいは事実認定等によって具体的な措置をとるということでございますので、その内容自体につきまして私どもといたしまして介入するということは避けるということで、直接それに対する行為をいたしてはおりません。ただ国鉄財政を再建し、国鉄の公共的使命を遂行するためには労使間の円満な、かつ正常な関係が確立をされまして、全職員一体となって危機を乗り越えていかなければならぬというふうに考えておりますので、その方向に沿いまして大臣ともども今後とも指導してまいりたい、このように考えております。
○松本(忠)小委員 最後に私総裁にもう一言申し上げたいわけでありますが、国鉄は率直に非を非として認めたわけでございます。いまも話があったように原点に立ち戻って新しく出発するのだという総裁の決意もわかります。要は国鉄の経営の危機に対する職員の自覚と能率の向上、これがあればこの経営の危機を突破できる。もちろんいろいろ国からの大幅な援助がなければならないこともわかりますけれども、とにかくいま総裁の決意を聞いて、総裁が真剣に今度は取り組んでいくんだという姿勢もわかります。事新しく私が財政の危機を言うつもりもありませんけれども、四十五年度の赤字が千五百十七億ですか、四十六年度には二千七百億から二千八百億の赤字が見込まれる。そうなれば結局累積赤字は八千億をこしていくのだ、こうなれば当然民間会社ではとうの昔に破産しているわけです。こういう事態に対して、職員とともに再建を考えていこうというトップクラスの姿勢、そしてそれに取り組んでいくところの信念といいますか、そういうものが必要だと思うのです。いままでも、目には目、歯には歯というような力と力の対決は決して解決の方向には向かわないと思います。経営の改善にはどんな場合にも労使のいい関係が前提になると私は思います。そのためにはあくまでも対話であると思います。国鉄再建のために当局側が強権的な方針を改めて、また組合も真剣に当局との対話に応じて、まず身内から再建の意欲を燃やしてもらわなければならぬ。われわれがいかにまわりからこの小委員会でやいやい言ってみても、労使双方の対話がなくてはだめだと思います。双方とも反省すべき点を率直に改め、反省して、そしてすでに実行されたわけでありますけれども、当局側からの話しかけをして、そして労使間の不信感を一掃して、いままでのメンツの争いをやめて、謙虚に赤字に悩む国鉄の実態を直視し、労使双方が真剣に国鉄の再建に取り組んでもらいたい。この席に当局側しかおりませんから、組合の考え方を聞くわけにはいきませんけれども、私は最後に当局のお考えを聞いておきたいわけです。私の危惧する点は、この問題がこれ以上こじれていくと、当然毎日の作業に悪影響を及ぼすと思います。チームワークを乱す危険性がある。そういうところから運転事故に結びつく。そして大事故が起きる。こういうことになってくると、迷惑するのは国民だけだと思うのです。そういうことをおそれるがゆえに、私はやはり真剣にこの問題に取り組んでいただきたい。そしてそういう事故を起こさないように労使協調して、真剣に国鉄の再建に取り組んでもらいたいということを私は希望するわけであります。この点についての総裁のお考えを一言聞いて終わりにいたします。
○磯崎説明員 ただいまたいへん私どものためになる御助言を賜わりまして厚くお礼を申し上げます。
私といたしましても、いわばコップの中のトラブルである。しかもコップの外の方々、皆さん非常に心配してくだすっておるというふうな事態でございますので、ここで四十数万のマンパワーと申しますか、全力をあげて力を結集いたしまして、今後の財政再建と申しますか、財政再建を含めました国鉄全体の物心両面の再建に全力を尽くしてまいりたいというふうに思う次第でございます。今後ともやってまいりますが、どうか御支援、御協力をお願いしたいということを最後に申し上げます。
○松本(忠)小委員 以上で終わります。
○徳安小委員長 加藤六月君。
○加藤(六)小委員 もう総裁出かけてよろしいですから。
公明党の松本委員から冒頭に国鉄再建問題に対しての具体的な提案がございましたので、私もその提案をひとつ行なっておきたいと思います。
各党で再建の具体的な案をやるといたしましても、先ほど総裁の最後の答弁にコップということばが出ましたが、このコップということばの解釈でも、水を飲むコップと花を入れる花びんにもコップはなるわけでありまして、解釈のしかたいかんによってはどのようにでもなってくるわけであります。そこで国鉄再建に対する基本的な条件に類するようなものを私はこの席で述べておきたいと思います。こいねがわくは各党の皆さん方もその基本的条件というものを取捨選択していただいて、検討していただいたらどうだろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
そのまず第一は、再建期間を現状のとおりの再建期間内で再建するかどうかという基本方針を打ち出していただきたい、こう思うわけでございます。
二番目は、輸送量、運輸収入というものの策定をどういうふうに持っていくかということでございます。この問題に関連しましては、再建計画によりましては四十八年、五十二年に各一〇%の運賃改定というものを含んでおります。この輸送量と運賃収入の策定をどのようにするかということを含んだ、しかも再建計画によるところの四十八年、五十二年各一〇%アップということをどう取り組むか、どう処置するかということも案に入れた輸送量、運賃収入の策定問題。
三番目は、公共負担の是正ということがよく言われております。この公共負担の是正をどれとどれをどの程度やっていくのか。学割あるいは通勤、通学定期あるいは貨物の各種割引、こういう問題をどういう計画でどういうようにやっていくかという問題であります。
それから四番目は、三兆になんなんとする債務がございます。一般政府管掌債務一兆七千億円、それ以外のものが一兆三千億円、これに対する再建案をどういう態度で打ち出していくかということでございます。
それから五番目は、たびたび当委員会でも資料が配られ議論されております幹線系と地方交通線に対する方針、態度をどのようにして打ち出していくかという問題でございまして、これを在来のままやっていくか、あるいは幹線系と地方交通線に対する浮揚策といいますか、あるいは処置策をどう打ち出していくかという問題。
さらに、六番目には毎年大きな問題になっております人件費のアップという問題。再建計画と現状の人件費のアップとの大きなズレというものが、ある面では再建計画の大きな誤差になっておると思います。具体的にはその間の差が三%ないし四%、計画案と実際との間にズレがあるわけでございますが、これをどういうように見ていくか、処置していくかという問題でございます。
それから七番目は、いつも問題になりますのは百二十数億に及ぶ市町村納付金の問題が出てくるわけでございます。この市町村納付金をどうするかということが国鉄予算を編成するのにからんで出てきておるわけでございますけれども、これをどういう方法でのむかということでございます。
八番目は出資でございます。よく日本国有鉄道であるから政府出資をふやせとか、どうせよとか、いろいろな問題が出てくると思いますが、こういった問題にからむ問題、さらには、これは新幹線建設にからむ出資という問題と両方出てくると思いますが、こういう出資問題をどういうふうに処置していくかということでございます。
九番目は工事経費でございます。財政再建計画によるところの工事経費、いわゆる工事料というものが妥当であるか、それとももう少しふやさなくてはならないか、あるいはまた減さなければならないかという問題は、これまた再建計画並びに国鉄収支に非常に大きく影響してくるわけでございますので、この工事経費の内容を取り上げていただきたいと思います。
十番目は、すでに決定いたしておりますのは山陽新幹線博多まで並びに東北、上越、成田三新幹線は昭和五十一年までに開通するようになっておりますが、さらにそれ以上新幹線をどの程度、延ばしていくかということも、非常に再建計画と大きなからみ合いを持ってくると思います。したがって、この新幹線の工事量並びに開通、営業開始までどういう過程をとらしていくかということも、再建問題と非常に重要なるからみ合いを持ってくると思いますので、これについて御処置を願いたいと思います。
最後は、いつも問題になるわけでございますけれども、先ほど申し上げました幹線系と地方交通線問題を処置していきます場合に問題になりますのは、鉄建公団の建設中並びに計画中のAB線の問題というのが出てくるわけでございます。したがいまして、この国鉄問題では、ストレート国鉄問題ではございませんけれども、いわゆる世論あるいは各界各方面から指摘されておりますところの鉄建公団の建設中のAB線に対する態度をどうしていくか、こういった問題はひとつ共通の基盤として、あるいはこの中で取捨選択は適当にしていただいてよろしいと思いますけれども、こういう問題をひっさげた上での国鉄再建案というものを各党が出し合ってみて、そして議論したらどうだろうかと私思うわけでございます。しかもわが党はこの中のこれはとらない、これはとるというところが議論に出てくると思いますが、この国鉄小委員会をつくった大きな任務からいいましても、こういう問題をひとつ出していくのがいいんじゃないかと思います。
さらに、こいねがわくは、いま私が申し上げましたようないろいろな諸条件に対して、いろいろ検討していただきまして、ひとつこの裏づけの数字を全部当てはめていただきたい。それは一番最初にちょっと申し上げました再建計画を五十三年までとするか、それとも延ばすかということにもよるわけでございますが、おそらくこれは各党において完全なる数字をこれにぶち込んでいくということは困難であるかもわからぬと思いますが、それはそれぞれの役所を使って数字の提出を命ぜられて当てはめていただきたい。そして少なくとも言われておるように、最終的な結論は収支とんとん償却前に赤字が出るような状態ではだめであります。償却後とんとんになるぐらいの数字を出していただくという立場での、そういう諸条件をひとつ吟味していただきたい、このように私、松本委員の提言に対しまして、私のほうとしての意見を申させておいていただく次第でございます。よろしく御勘案のほどお願い申し上げます。
○松本(忠)小委員 加藤さんの発言、まことにけっこうだと思います。十一項目にわたっていろいろと述べられまして、非常にそのとおりだと思います。願わくは、大きな問題として関連事業の問題も加えるべきではなかろうかと私は思うのですが、これの点についても御賛意を得られるならばけっこうだと思うわけです。
数字の点については、なかなかこまかい数字まではとうてい不可能だと思います。いま加藤さんからもお話があったように、役所を使ってこの数字を出していこうということになれば、これは可能だと思いますけれども、いずれにしましても国鉄再建のために設けられたこの小委員会でございますから、どうしてもこの問題と真剣に取り組んで前向きに各党で検討して、決定をすみやかにしていただきたい、このように思いますので、この点についてもよろしくお願いをいたしたいと思います。
○加藤(六)小委員 松本委員がいまおっしゃいました関連事業といいますか、私は雑収入、そこでつけ加えさせていただきますのは、いま申し上げました十数項目を実施するについて法律改正の要るもの等が出てくると思います。したがって、わが党のこういう政策をやってこういう国鉄再建をやらんとするならば、たとえば日本国有鉄道法第六条の改正が要る、これが松本委員のおっしゃったたとえば関連事業ということになるわけでございます。あるいはまた先ほどマル生運動等が出てきましたが、現職者の部外への転職、やめた場合の就職の保証とか特別退職金を考慮するとか、いろいろな場合に要する特別立法等の問題も出てくると思います。したがって、そういう特別立法あるいは法律改正というものも、わが党のこれをやる場合にはこういう法律の改正、こういう特別立法が必要であるということもあわせて付記すると、非常に明確になってくるんではないかと思います。
また、わが党の箕輪委員その他から御注意もございまして、おまえ赤字線ということがないじゃないかということもおっしゃいましたが、私が先ほど御説明申し上げました幹線系と地方交通線というものの中にこういう問題を含んでおります。それからまた委員長から御指摘いただきました人員の問題は、私の申しました人件費というものの中に含んでおる、こういうように、ただ松本委員のおっしゃった関連事業を行なうという内容は、これは確かに落ちておりましたが、これは私は雑収入というところで勘定科目を立ててみたいと思っておりましたが、これはぜひ加えていただきますように、そういう点でひとつまとめあげていただければありがたい、こう思います。
○河村小委員 項目はいまお二人が言われたので尽きていると思います。それで基本的に賛成です。ですから日にちを切って、臨時国会十六日から始まるわけですから、始まって二週間以内くらいには詰める作業をやらなければ、時間的に間に合わないと思いますので、このくらいに日限を切っていただいたらどうかと思います。
○内藤小委員 私は加藤委員なり松本委員あるいは河村委員の御発言をそのままこういう御発言があったということでわが社会党に持ち帰りまして、一応内部でまたいろいろ相談をしてまいりたいと思います。
○加藤(六)小委員 内藤委員に申し上げておきますが、取捨選択は御自由でございますから、そこをひとつ誤解ないように、取捨選択は御自由に。ただ、先ほど申し上げましたように、これは社会党のある先生に私は御指導をいただいたのですが、加藤、世の中がいろいろ混乱してくると、コップというと水を飲むものと思うけれども、そうでなくて、水を入れてその上に花を立てれば花びんになるんだという理論を教えていただいたので、共通の基準としてこういう問題を出してもらいたいということを申し上げたわけですから、取捨選択は御自由ですから、ぜひ出していただきたいと思います。
○内藤小委員 加藤委員の御発言、全部筆記いたしました。そういうふうに積極的に進めておりますので……。
○松本(忠)小委員 いまの河村委員の発言の、日限を二週間に切ってはどうかという点でありますけれども、この点については私はちょっと御返事をいたしかねますので、この点は記録にとどめていただきたいと思います。
○内藤小委員 賛否は言いません。私もこの賛否をこの場では言いません。
○徳安小委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕
○徳安小委員長 速記を始めて。
本日はこれにて散会をいたします。
午前十一時七分散会
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日本国有鉄道研究家・国鉄があった時代
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