昭和19年、慢性的に不足する労働力に対して就学中の生徒たちを軍需工場等で働かせる訓令が発せられました。
以下は、その原文になります。
文武両道の観点から、教育の種類程度に適応出来る作業を選んで、学校と職場生活で修練を図ることが出来るとして、積極的に学生を軍需工場などに送ろうという内容になります。
決戦非常措置要綱ニ基ク学徒勤労動員ニ関スル件(昭和十九年四月十七日文部省訓令第十一号)
畏クモ宣戦ノ大詔渙発セラレテ茲ニ二年有半御稜威ノ下能ク東亜ノ要域ヲ確保シ大東亜ノ建設亦日ニ進ミツツアリト雖モ暴戻ナル敵ノ反抗ハ最近頓ニ熾烈ヲ加ヘ精鋭比ナキ皇軍ノ前ニ只管物力ヲ侍ミトシテ執拗ニ決戦ヲ挑ミ来ル正ニ皇国隆替ノ岐ルルトコロ未曾有ノ危局ナリト謂フヘシ国家非常ノ秋ニ方リ義勇公ニ奉スルハ光輝アル我カ伝統ナリ乃チ前線銃後ヲ貫キ国民即戦士ノ自覚ニ徹シ一億蹶起シテ戦闘配置ニ就ク就中学徒ハ曩ニ一部ノ勇躍出陣ヲ送リ決眦待望今日ニ及ヘルモ今ヤ中等学校程度以上ノ学徒ハ挙テ常時勤労其ノ他ノ非常任務ニ服スヘキ組織的態勢ノ下適時出動ノ機ヲ迎フ事固ヨリ決戦非常ノ措置ニ出ツト雖モ将来国家須要ノ人材タルヘキ学徒ヲシテ勤労其ノ他非常任務ニ従ハシム蓋シ我力教育史上空前ノコトト謂フヘシ
惟フニ行学ヲ一体トシ文武ヲ一如トシテ能ク皇国民ノ錬成ヲ効スハコレ我カ教学ノ本義ニシテ最近数次ニ亘ル教育改革ノ趣旨一ニ此ニ在リ這般ノ学徒出陣今次ノ学徒出動亦斉シク我カ教学精神ノ決戦下ニ於ケル具体的顕現ニ他ナラス宜シク実学ヲ重ンシ事上錬磨ヲ尚フ我カ国風ノ精髄ヲ味得シ現実ナル勤労其ノ他ノ諸活動ニ於テ教育ノ終局的ナル意義ト効果ノ発揚セラルル所以ヲ体認スヘキナリ特ニ学徒ノ勤労動員ハ其ノ体得セル教養訓練ト独自ノ組織力トヲ活用スルヲ以テ要諦トシ之ヲ以テ単ナル労務ノ提供トナスカ如キハ断シテ許サレサルトコロナリ乃チ教育ノ種類程度ニ適応セル作業ヲ選ヒ学校ト職場生活ト修練トヲ相即一体タラシムルニ力メ奉公勤公ノ皇国勤労観ニ徹セシムルト共ニ常ニ学徒タルノ矜持ヲ保チ自学求道ノ謙虚ナル態度ヲ持セシメ其ノ出動ニ方リテハ教職員ヲ中心トスル学校報国隊ノ組織編成ヲ以テシ整然タル規律節制ノ下溌刺タル意気ト力トヲ以テ精進事ニ当ラシメ力メテ専攻ノ学理力生産ノ実際ニ於テ如何ニ応用セラルルカヲ考察玩味セシムルヲ要ス斯クシテ学徒勤労動員ノ行ハルルトコロ自ラ一ノ風尚ヲ醸成シ延イテ現場ノ全体ニ清新ノ気ヲ横溢セシメ生産効率ノ上昇戦力ノ飛躍的増強期シテ侯ツヘク以テ挙国勤労態勢一新ノ契機タルヘシコレ国家焦眉ノ要請ニシテ学徒動労動員ノ真価此ニ発揮セラルルヲ銘記セサルヘカラス
更ニ之力指導ニ方リテ深ク叙上ノ趣旨ヲ究メテ万般ノ措置悉ク此ニ出ツヘキハ勿論特ニ学徒ノ心情ヲ確把シ其ノ純真ナル奉公心ヲ実践ノ上ニ遺憾ナク発揮セシムルヲ旨トシテ周到ナル注意ヲ払フト共ニ苟モ規矩ニ拘泥スルコトナク機ニ鑑ミ変ニ処シテ実情ニ即スル創意工夫ヲ回ラシ指導誘掖ノ適切ヲ期スルヲ肝要トス之ヲ要スルニ今次学徒動員ハ真ニ劃期的ナル国家施策ニシテ教育ノ効果ヲ発揚スヘキ機会今日ニ勝ルモノナシ変転極リナキ世界情勢ノ中ニ皇国ノ嚮フヘキトコロハ炳トシテ明カニシテ国家悠久ノ発展ニ学徒ノ荷フヘキ任務愈々重キヲ加フ決戦必勝ノ果ハ凡ユル苦難ヲ超克シ淬励ノ誠ヲ尽シテ然ル後始メテ之ヲ得ヘク一億蹶起ノ先駆タルヘキ学徒動員ノ意義倍々大ナリ職トシテ教育ニ携ハル者宜シク教育ノ重大性ニ思ヲ致スト共ニ学徒動員ノ趣旨ノ存スルトコロヲ諒得シ奮励精進以テ其ノ成果ノ発揚ニ渾身ノカヲ竭スヘシ
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