スキップしてメイン コンテンツに移動

靖国神社に新たに合祀される遺族が参拝のために国鉄を利用する際の運賃を補助する事に対する 審議経緯

今回は、靖国神社に新たに合祀される遺族が参拝のために国鉄を利用する際の運賃を補助するというもので、 五割引となっていました。
そのときの審議の経緯が以下であり、国鉄としても割引の意思があると新聞に出ていたと言うことからスタートしています。

国鉄自ら、自発的に割引を申し出たようで、政府などからの要請ではなかったようです。

以下は、衆議院運輸良いなきの議事録から抜粋したものです。

 

 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第26号 昭和28年3月13日

昭和二十八年三月十三日(金曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 逢澤  寛君
   理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君
   理事 河本 敏夫君 理事 正木  清君
      伊能繁次郎君    玉置 信一君
      徳安 實藏君    中野 武雄君
      伊東 岩男君    臼井 莊一君
      吉川 大介君    熊本 虎三君
 出席政府委員
        運輸事務官
        (海運局長)  岡田 修一君
        運輸事務官
        (鉄道監督局
        長)      植田 純一君
        運輸事務官
        (自動車局長) 中村  豊君
 委員外の出席者
        専  門  員 岩村  勝君
        専  門  員 堤  正威君
    *****************
三月十二日
 臨時船舶建造調整法案(内閣提出第一七六号)
の審査を本委員会に付託された。
    *****************
本日の会議に付した事件
 外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第一七二号)
 道路運送法の一部を改正する法律案起草に関す
 る件
 戦没者遺族の国鉄運賃割引に関する件

 中略

○原健三郎君 ただいま議題となりました三法案につき、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、運輸省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法案は、国際観光事業の重要性にかんがみ、観光行政を強力に遂行せしめる必要上、現在運輸省にあります観光部を観光局に昇格せしめるため、運輸省設置法に所要の改正を加えようとするものであります。
 本法案は本月十五日本委員会に付託され、十八日提案者を代表して畠山鶴吉君より提案理由の説明を聴取いたしました後、質疑、討論を省略、直ちに採決の結果、本法案は起立多数をもって原案の通り可決すべきものと議決いたしました。
 次に、海上運送法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず、本法案の概要を御説明いたします。現行法制定後の施行状況に徴しますと、海上運送の実情に沿わない点がありますので、これらの諸点について所要の改正を加えようとするものでありまして、その内容のおもなる点をあげますと、第一点は、従来届出制でありました旅客不定期航路事業を許可制にするとともに、その運賃、料金及び運送約款等について所定の規制を加えようとするのであります。第二点は、旅客定期航路事業について免許基準の明確化をはかるとともに、人命の安全に関する法令に違反した場合には事業の停止または取り消しができ得るようにいたそうとするのであります。
 本案は、五月十六日予備審査のため本委員会に付託され、同月二十八日政府より提案理由の説明を聴取し、七月四日本付託となり、同月十三日、十八日質疑を行いましたが、その詳細は会議録で御承知を願います。
 かくて、討論を省略し、直ちに採決の結果、本法案は全会一致をもって原案通り可決した次第であります。
 次に、戦傷病者等の日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律案について申し上げます。
 本法案は、旧軍人軍属たる戦傷病者に対する援護の一方途として、増加恩給、傷痍年金または傷病賜金を支給されている旧軍人、旧軍属等であって、現にその不具廃疾または傷病の程度が政令で定めるところに該当する者及び政令で定めるその介護者は、日本国有鉄道の鉄道及び連絡船に、政令で定める回数、等級、区間に限り、運賃を支払わないで乗車または乗船することができることとし、国はこの取扱いに伴う鉄道及び連絡船の運賃に相当する金額を負担することとしようとするもので、昭和三十一年四月一日から施行することとなっております。
 本法案は、本月十九日本委員会に付託され、同日提出者を代表して原健三郎より提案理由の説明を聴取いたしました後、質疑に入りましたが、その内容は会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、質疑を打ち切り、討論を省略いたしましたが、本法案は議員の発議にかかる予算を伴うものでありますので、国会法第五十三条の三の規定により内閣の意見を徴しましたところ、植田運輸省監督局長より、本法案は事務的にはなお検討を要すべき点があるが、大きな方針に関する問題なので、方針決定の上は、その線に沿うて研究したいという意味の答弁がありました。
 次いで、採決の結果、本法案は起立総員をもって原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)

 

よろしければお願いします、資料の購入費用に充てさせていただきます。 

https://ofuse.me/blackcat0610

 

にほんブログ村 歴史ブログ 現代史 戦後(日本史)へ
にほんブログ村
にほんブログ村 鉄道ブログ 国鉄へ
にほんブログ村*****************************************************************
取材・記事の執筆等はお気軽にお問い合わせください。
下記、入力フォームからお送りいただけると助かります。
https://jnrera.minim.ne.jp/contact.html

日本国有鉄道研究家・国鉄があった時代
https://jnrera.minim.ne.jp/
*****************************************************************

 

コメント

このブログの人気の投稿

東海道本線鶴見・横浜間における運転事故 報告書 全文(前編)

 1963(昭和38)年11月9日に発生した、脱線事故、通称「鶴見事故」に関する監査報告書の全文(今回は前編)をアップさせていただきました。  この事故は、走行中の二軸貨車(ワラ1)形が走行中に脱線して、電柱に衝撃、脱線した貨車はそのままの旅客船を支障、すぐ横を走っていた電車と接触して電車は跳ねられるようにして、対向する下り電車の側面に衝突、下り電車4両目後部から5両目を破砕しながら乗り上げて停止する悲惨なもので、上下列車合わせて161名の死者と120名の重軽傷者を出す大惨事となった事故です。 この事故の原因は、走行中の貨車によるせり上がり脱線と言うことでしたが、その後原因を調査するために狩勝実験線として廃線となった区間を生かして走行実験などが繰り返されることとなりました。 結果的には原因は複合的な要因による競合脱線と言うことでしか結論は出ず。脱線しにくい踏面等が考案されていきましたが。 ワラ1形式自体は欠陥貨車というレッテルを貼られることなく、59年2月の直行系輸送へのシステムチェンジまでは、汎用貨車として利用されることとなりました。 今回は、前編と言うことでアップさせていただきました。 引き続き、 後編 もアップさせていただきます。 *********************************************************    東海道本線鶴見・横浜間における運転事故 (写)                                                                       監委事第2号                     ...

三河島 駅列車衝突事故 特別監査報告書 全文

資料として、三河島事故に対する特別監査報告書の内容全文をここにアップします。 国鉄監査報告書昭和36年版 p277~P288から引用しています。今回の三河島事故では、最初の衝突後、十分列車防護をする時間が有ったにも関わらず、当事者(貨物列車乗務員、及び下り電車乗務員)が適切な防護措置を取らなかったこと、(本来であれば、支障した時点で前後の列車に対し、発煙筒・信号短絡等の措置を取ることが義務づけられている。)さらに、乗客がドアコックを開放して線路に降り立ったこと等の複合的な要因が重なり、支障した下り電車が対向の電車と接触大破して、上り電車乗務員が死亡乗客の多くも犠牲になった事故で、運転士・機関士の列車防護措置に対する怠慢が指摘されたほか、組織として支社が十分機能せずに管理局にしわ寄せが来ていること。更に管理局も現場への管理が形式的文書的な指導になりがちで、現場が十分に実務指導等を行える状況になっていないことなども指摘されており、東京鉄道管理局の三分割に繋がる、組織の改編などにも言及されています。   常磐線三河島 駅列車衝突事故特別監査報告書提出について (写)      監委事第 20 号    昭和 37 年 6 月 14 日 運 輸 大 臣   斎 藤 昇 殿 日本国有鉄道監査委員会委員長 石 田 礼 助  常磐線三河島駅列車衝突事故特別 監査報告書提 出 に つ い て (報告) 鉄保第123号の御指示に基づい て、常磐線三河島駅列車衝突事故に関し、調査検討した結果を別冊のと おりとりまとめましたので御報告いたします。 常磐線三河島駅列車衝突事故特別監査報告書 昭和37年5 月4日付で、常磐線三河島駅列車衝突事故 に関し、運輸大臣より事故の原因を究明するとともに、特に国鉄の管理体制のあり方について、 特別監査を行なうよう御指示がありましたので、 監査委員会において、昭和37年5月7日以降17 回にわたり委員会を開催し、審議いたしました。   事故の状況は、後に述べるとおりでありますが、本委員会は直接の原因のみならず、事故防止の観点から、広く間接的な諸原因について究明する事が重要であると考え、国鉄補本社役員、局長、関東支社長、東京鉄道管理局長及び現場長等について、状況、意見を聴取するとともに、本件に関し、国鉄の実情を詳細に調査検討...

上尾事件顛末 当時の駅長による回想記

 上尾事件に関する顛末として、当時の国鉄部内の雑誌に掲載された、記事から全文転載しました。 上尾事件は、動労による順法闘争にしびれを切らした乗客が暴徒化して駅及び車輌などを破壊する行為に及んだもので、動労の順法闘争も許されるものではありませんが、乗客も不満が溜まっていたとはいえ、こうした暴徒化することは決して許されるものではないこと。 また、「国鉄=態度が悪い」というイメージが付きまといがちですが、暴徒から信号継電装置を守った信号係員や、小荷物等の預かり品を守ろうとした若い駅員がいたことも語られています。 以下、本文   832M ・上尾発 6 時 54 分  この4月24日夜、東京都内で発生した各駅の騒乱状態を、各新聞は第二の上尾事件として、一斉に報道した。上尾事件といい、また都内各駅の騒乱といい、国鉄有史以来の未曽有のできごとであった。とこに若干の反省を含め上尾事件を詳述することとしたい。   1 高崎線の通勤の現状   高崎線は、埼玉県の県央・県北部と群馬県の南部とにまたがっている縄区(大宮~高崎間)である。 高崎線の沿線は、近年、とみに住宅団地の造成が著しく、都市化の波が押し寄せて来ている。住宅公聞から新駅設置の要望が出されていることからもおわかり頂けるかと思う。 高崎線利用の通勤人口は約五万人。この通勤客を、 115 系 15 両編成を主体にした中電 19 本でラッシュ帯に七分ヘッドで運行することにより輸送している。   2 事件発生の契機   去る 3 月 13 日朝、全国的に勇名をはせた高崎線の上尾事件が起きた。上尾駅は、大宮から 8.2 キロ北にあり、職員数 46 名、橋上式の小さな駅である。 それはさておき、 3 月 5 日から国労・動労のサボが始まり、これに起因する輸送混乱が日増しに拡大して行った。問題の目、 13 日近くには、指令の諸氏は、車両のやり繰りに四苦八苦で運休を防ぐのが、精一杯の態であった。 そして 3 月 13 日の朝。遂に、車両運用の部分と、いわゆる減速闘争のため、 832M に 先行すべき 828M ・ 1830M が遅れるという事態に至った。 上尾発が所定 6 時 54 分のところ、事件の直接...