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第57回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 昭和42年12月14日

 

 

昭和四十二年十二月十四日(木曜日)
   午後一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 佐々木義武君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 田中 正巳君 理事 橋本龍太郎君
   理事 河野  正君 理事 田邊  誠君
   理事 田畑 金光君
      小沢 辰男君    海部 俊樹君
      菅波  茂君    田川 誠一君
      竹内 黎一君    中山 マサ君
      箕輪  登君    粟山  秀君
      渡辺  肇君    山口 敏夫君
      枝村 要作君    加藤 万吉君
      川崎 寛治君    後藤 俊男君
      佐藤觀次郎君    島本 虎三君
      西風  勲君    八木 一男君
      山本 政弘君    本島百合子君
      大橋 敏雄君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 園田  直君
        労 働 大 臣 小川 平二君
 出席政府委員
        厚生政務次官  谷垣 專一君
        厚生大臣官房長 戸澤 政方君
        厚生省保険局長 梅本 純正君
        社会保険庁医療
        保険部長    加藤 威二君
        郵政政務次官  高橋清一郎君
        郵政省人事局長 山本  博君
        労働政務次官  井村 重雄君
        労働大臣官房長 石黒 拓爾君
        労働省労政局長 松永 正男君
        労働省労働基準
        局長      村上 茂利君
委員外の出席者
        法務省人権擁護
        局長      堀内 恒雄君
        厚生大臣官房統
        計調査部社会統
        計課長     石井 律三君
        厚生省保険局医
        療課長     松浦十四郎君
        日本国有鉄道副
        総裁      磯崎  叡君
        日本国有鉄道常
        務理事     井上 邦之君
        専  門  員

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十二月十四日
 委員淡谷悠藏君及び石橋政嗣君辞任につき、そ
 の補欠として稻村隆一君及び佐藤觀次郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員稻村隆一君及び佐藤觀次郎君辞任につき、
 その補欠として淡谷悠藏君及び石橋政嗣君が議
 長の指名で委員に選任された。

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    本日の会議に付した案件
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件
    *****◇*****
○川野委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。

○後藤委員 まだ労働大臣が見えておりませんので、まず最初に、国鉄の関係につきまして、副総裁もおいでになりますのでお尋ねしたいと思うのです。
 現在、新聞でも毎日報道いたしておりまするように、十二日から、国労なり動労の順法闘争が行なわれまして、東京付近を中心に、かなり国鉄のダイヤが乱れておる。これはもう申し上げるまでもなく、現実にそうなっておるわけですが、これの根本的な問題は、いろいろ過程はありますけれども、国鉄の財政危機、深く突っ込んでいけばそこへ問題はいくと思うわけでございます。
 御承知のように、二兆七千九百二十億円の借金をかかえ、しかもその利息金として、新幹線のもうけだけは全部払わなければならない、こういうように財政的にもまことに窮迫した状態であろうと思います。
 それから、さらにそれにつけ加えまして、来年十月の白紙ダイヤ改正の問題、さらには時間短縮の問題等々でかなり要員も必要だ。いままで表面的に出ておりますのは五万人の合理化と、これによって、いま申し上げました問題の要員を生み出そうというようなことが、今次闘争の中心ではないかというふうに私は考えておる次第でございますが、そうなってまいりますと、まず第一番に国鉄自体としてでございますが、いま約四十六万人ですが、昨年の年末に公労委から裁定が出まして、時間短縮の問題、さらに第三次長期計画にあるところの輸送強化の問題、さらには財政危機の問題、こういうようないろいろな問題をたくさんかかえておる今日でございますし、さらに来年度の予算が、真剣なる討論がかわされようといたしておる今日でございますが、いま申し上げましたような情勢の上に立ちまして、国鉄として政府のほうへ、予算の問題なり要員要求の問題につきましては、どういうふうなかっこうで??具体的に数字を示していただいて、しかも今日まで強力にやっていただいておると思うわけでございますけれども、冒頭にその点についての御説明を承りたいと思う次第でございます。

○磯崎説明員 国鉄の現状、ことに財政的に非常に重大な危機に直面いたしました現時点における問題につきましては、ただいま先生の仰せのとおりでございまして、私どもといたしましては、率直に申し上げさしていただきますが、いまの事態が決して、何と申しますか、ただ一時的な経済不況とか、財政不況とかいう問題でなくて、やはり開聞以来一世紀たった国鉄というものの、いわゆる鉄道事業というものの中に包蔵されている宿命的なものが、ぼつぼつあらわれてきておるというところに、私は実は根本的な問題があると思います。遠くイギリスにおきましてもいろいろ問題があるようでありますけれども、やはり全世界同じように、鉄道事業というものがいま非常に大きな危機に直面しているということ、その波が徐々に日本の鉄道にも及んできたということが根本的な問題で、ただいま先生がおっしゃったことも、やはりそれをさしておっしゃっておるというふうに私考えます。したがって、そういう根本的な、基礎的な立場に立ちまして、一体今後国鉄をどうするのかという角度からものごとを考えなければいけないと思いまして、決して一時的な財政糊塗策だけでは、私は事足りることではないというふうに考えます。
 実は、この問題は一昨年ごろからぼつぼつ論議され、国会におきましても、予算委員会、決算委員会においてしばしば御議論のあった点でございます。端的に申しますと、実は国鉄の自前では残念ながらもうやれなくなってしまった。いままではとにかく収入をいただいて、そうして経費をまかなう、あるいは借金の利子を払うということでいままでまいったのでございますが、残念ながらどうしてもここでよそさまの力を借りる、言いかえれば、国民の税金をただで使わせていただくということをしない限り、ここしばらくの国鉄というものは、やっていけない。しかも、われわれといたしましては、国鉄がこのまま滅びてしまうのではなくて、何とか次の世紀の交通機関として、国民のお役に立ちたいということを前提として、この転換期をどう乗り切るかという角度からものごとを考えてまいらなければならないというのが私どもの根本的な態度でございます。そういう態度からまいりまして、具体的に、たとえば来年度予算等におきましても、実は本年度予算ができる際にいろいろ論議されまして、いままでの抽象論ではとてもやっていけない。何とかきちっと事務に乗せて、しかも数字に基礎を置いた対策を立てない限りだめなんだということで、実は去る四月以来、予算の成立以来、ずっと大蔵省あるいは経済企画庁等を交えまして、専門家の中で、実はひざを突き合わせて、数字の検討をしてまいりました。このままではどうしても国鉄はつぶれてだめになってしまうということを防ぐためには、ここである程度政府としてもめんどうを見てほしい、まためんどうを見てやらざるを得ないのではないかというところにまいった。
 具体的にお尋ねの来年度の予算でございますが、たまたま内閣の改造等もあり、その直後の臨時国会でございまして、まだ十分新大臣にも御説明等が完全に行き届いておりませんし、また大蔵省のほうにおいてもいろいろ論議の最中であり、また私どもといたしましても折衝の最中でございますので、具体的なこまかいことは申し上げられませんが、ただ私どもといたしましては何らかの形で、あるいは利子を補給するとか、あるいは政府から出資をしてもらうとか、あるいは運賃を上げるようにしてもらう、こういういろいろな角度から国民全体からもめんどうを見ていただくし、また受益者からもめんどうを見ていただくという立場で、ここしばらく国鉄の苦しい状態の切り抜けに協力していただきたいというのが私どもの根本的な態度、考え方でございます。
 その中で、特にお尋ねの人間の問題につきましては、後刻御質問によってお答えいたしますが、非常にたくさんの問題を含んでおります。何と申しましても四十七万という膨大な人員をかかえまして平均年齢が三十八歳、日本の企業で最高の平均年齢です。残念ながら一人当たりの水揚げが二百万までにならない。百八十万くらいの水揚げしかない。こういうように、サービス業として非常に人間の多いサービス業である。しかも、ある程度機械化しても、なかなか人の減りにくいサービス業である。しかも、非常に年齢が高くて、人件費の問題が、全体のウエートの中で非常に大きな割合を占めておるという角度から、私どもといたしましては、たとえばほかの企業でやっているベースアップ等につきましても、できるだけ国鉄職員なるがゆえにベースアップしないということはしたくない。また、いまの四十七万という人間の首を切って合理化する、首を切って企業を建て直していくということは、絶対したくないということを前提といたしまして、しからば、いかなる方策があるかということを考えてやっておる次第でございます。私どもといたしましては、四十七万の現在人員を極力減らすことなしに、しかも今後の財政危機を乗り切って、その次の新しい鉄道へ持っていくという考え方から、来年度予算の折衝をしておるところでございます。

○後藤委員 いま、特に要員問題で丁寧に御説明いただいたわけでございますけれども、実際は国鉄において定員外に一万三千人くらいの、しかも平均五百八十円という低賃金で臨時人夫の人が使われておる、これが実態だろうと思います。さらに先ほど申し上げましたように、輸送は強化しなければいけないし、要員はふやすわけにいかぬし、借金だらけであるし、これをどう切り開いていくのだというのが、冒頭申し上げますように、根本的に今回の闘争の一番の中心であろうというふうに私考える次第でございますので、ただ合理化で五万人の人間を減らすのだ、そういう合理化を行なう組合に強くその話が出ておるわけですが、一方におきましては、いま言われましたような方向で出資の問題なり、あるいは納付金の問題なり、利子補給の問題なり、その辺のところは強く政府のほうへ働きかけていただくことが、問題解決の一番大切なかぎではなかろうかというふうに私考えまして、いまの点をお尋ねいたしたような次第でございます。
 次には、順法闘争の問題ですが、きょうも私、毎日新聞を読んでおりましたら、この順法闘争のことが書いてありました。御承知のように順法闘争は十二日に始まったのであります。その前日か前々日でございますか、総裁のほうから強い警告書が出ておったと思います。この順法闘争自体を考えてみますと、現在におきましても東京の山手電車等は相当おくれております。ところが読んで字のごとく、順法闘争とは法律を守る闘争である。いわば国鉄における作業ダイヤですか、あるいは基準ですか、こういうものがきめられておるわけですが、それがきめられておるとおり実行に移すと、過密ダイヤでありますから、十秒、二十秒、三十秒積み重なってダイヤが乱れてしまう。ところが平素におきましては、何とか過密ダイヤの時間を正確に守ろうということで、きめられた規則も適当にしておいて守っておるから、ああいうふうな一分、二分間隔の電車もりっぱに動いている。いわば規則を守るとああいうことになるし、守らずにやると平常どおり動く、規則を守らないのが正当化される、こういうふうなかっこうに特に過密ダイヤにおいてはいえるのではないかと思うわけです。現在国鉄労働組合なり動力車労働組合がやっております順法闘争につきましては、順法闘争をやれば処分をするぞ、警告の内容は私は知りませんが、大体そういうことだと思います。ところが、規則を守ると処分をするし、規則を守れば列車はおくれるし、守らずにやっていけば平常どおり動く、まことに妙なことであるというのが、きょうの毎日新聞にも書いておったようなわけでございますけれども、現在行なわれておる順法闘争に対しまして、国鉄当局としては一体どういうような??いま申し上げました点から考えてどういうふうな考え方を持っておられるか、その点を明確にお答えいただきたいと思います。

○磯崎説明員 ただいまの御質問の前半でございますが、まず、部内の職員に対してきびしい合理化を望む以上、政府に対しても当然強い要求をしていいだろうなという御念の押しと存じます。その点につきましては、私どもといたしましても、逆に申しますれば、いやしくも一般国民の税金をただでいただく以上、やはり部内としてはできるだけのことをするというのがたてまえというふうに考えてやっております以上、外に対しましては、大蔵省あるいは国会の席におきましても、昨日も一昨日も予算委員会、決算委員会におきましてもできるだけの御説明を申し上げ、できるだけひとっここしばらくお助け願いたいというお願いをしている最中でございます。たとえば、いま先生御指摘の納付金の問題一つにいたしましても、私どもから申し上げますれば、百数十億という膨大な金でございます。ところが、市町村別に見ますと、一%から一%以下の金額でございますけれども、やはり納付金問題を私どもが問題にしたと同時に、全国のあらゆる市町村から、ほとんど全面的な強い反対の声が、直接あるいは間接に、先生方を通して私どものほうに強くまいっております。納付金の問題一つにいたしましても、非常に大きな困難を伴いますし、かわり財源と申しましても、私どもはかわり財源を調達するだけの能力を持ちませんので、ただ税金をまけてくれという程度の話になります。そういたしますと、市町村側としては、これは絶対まけられない、たとえ百万円でも、十万円でも、歳入が減ることは困る、こういうふうな強い態度でございまして、今後これを政府部内においていかなる立場で解決していただくかは非常に問題でございますけれども、納付金一つを例にとりましても、ことほどさように非常に国民的な反対を受けながらこれを解決しなければならぬということで、私どものほうの責任の重大さと、職責の重さをしみじみと感ずるわけでございますが、できるだけ全力を上げてこの問題は解決に努力しなければいかぬ。かと申しましていやだから、納められないから払わないということは、これはまた法治国家のもとで、いやしくも政府機関の一部である以上、これも許されませんので、きまってしまえば払わなければならぬ。これは借金を質に置いても払わなければならないということになりますれば、やはり何とかきまる前に納付金問題を合理的に解決するようにしなければならぬというふうに思います。ただ一つの問題につきましても非常にむずかしい点の例を一つ申し上げたわけであります。
 二番目の順法闘争の問題でございますが、実は私もこの最中毎朝電車に乗ってきております。ただいわゆる順法闘争と申しましても、昔と申しますか、十年ほど以前の順法闘争と、昨今の順法闘争とは、いささか趣を異にいたしております。前の順法闘争と申しますのは、たとえば実際物理的に設備が欠けていたとか、あるいは非常に規則が実情に合わなかったという意味の順法闘争ということでございましたが、昨今行なわれている順法闘争というのは、むしろそうでなしに、これは組合の部内の指令等も実は見ております。それなど見ますと、むしろ私どもから申しますれば、順法という以上やはりダイヤを守ること、これが一番順法の根本だと思います。たとえば駅に入る速度は十五キロ以内であるというふうにきめた場合に、それは一キロで入っても十五キロ以内である。しかし十五キロ以内という場合には大体常識的に十キロから十五キロくらいというのがあたりまえで、それを三キロなり五キロなりの速度で走れば、それはおくれるにきまっているわけです。あるいはたとえば車掌がドアをあけます。そうすると、電車がとまってからすぐドアをあけるか、あるいは三十秒たってあけるかによって非常に違います。普通ドアをあける時間は二、三秒というふうなことでございます。もちろんいまお話しの安全の点につきましては、これは車両その他も非常に整備されております。たとえば十五キロ以内というところを三キロで走らなければ不安全だというようなことは絶対にございません。その点で私どもといたしましては、私自身けさも電車に乗って参りました。普通のダイヤなら六分で着くはずのところを十数分かかる。普通私ども乗っておりましても、いわゆるノッチを入れてノッチをオフするという場所は、これは大体きまっているわけでございます。それを駅を出てからすぐやる、五十メートルも行かないのにノッチオフする、これは運転常識上考えられない問題ではないかというふうに考えます。これらの点につきましてはもう少し実態をよく究明いたさなければならないと思っておりますが、組合の中におけるいろいろな上部から下部への指令等によりますと、やはりそういうことを意識的にやるというふうなことがあるやに見受けられます。これらにつきましては、いわゆるそれが順法なりやいなやということにつきましては、相当問題があるというふうに考えます。まだ、きょう現在なおダイヤが正常に復しておりませんが、それらにつきましては十分現状を究明いたしますが、あらゆることをなるべくゆっくりやるということが、たとえばふだんならば三秒で済む、三秒はもちろん安全の範囲内で、それを五秒かけるか十秒かけるかということは、これはいわゆる一つの作業上の常識の範囲内であるというふうに考えますので、その範囲内を逸脱しているかどうか。私どもの規則も、幾ら何でも、たとえばドアが締まってから何秒後にノッチを入れるということの規則はございません。どこの私鉄におきましても、どこの国におきましても、これは運転士の常識として、ドアが締まったらすぐ信号を確認してキーを入れてノッチを入れる、これが普通の手順でございます。その手順の間に五秒、五秒ずつの間をおけば、これはおくれることがきまっているわけであります。それらにつきまして、はたして現状がどこまでそういう点の平常の常識的な作業を逸脱しているかどうかということにつきましては、十分、もう少し現状を調べなければわかりませんが、私どもといたしましては、昔と申しますか、十年以前の順法闘争と今日の順法闘争とはいささか趣を異にしておるというふうに考えておる次第でございます。

○後藤委員 順法闘争につきまして、いろいろ言い合っておりますと時間がかかってしまいますので、次の問題に入りたいと思うわけですが、合理化の問題です。いま国鉄当局が言っておるのは、二万人と三万人で五万人要るんだ。二万人は時短、三万はダイヤ改正、だからどうあろうとこうあろうと、五万人を浮かさぬことにはもうやれぬのだ、こういうふうな強硬な方針で進まれんとしておるところに、今次闘争が誘発したわけだと私は思っております。
 そこで、まず第一番には時短の問題です。私、聞くところによりますと、労働基準法に基づいて一昼夜交代ですか、午後十五分なら十五分の休息時間がある。この休息時間を休憩時間に切りかえる、そして六日をかけると九十分になるわけで、これで一時間三十分時短をやった、あとの三十分を何とかせなければいかぬ、まるで子供だましのような話が国鉄労働組合へも動力車労働組合へも行っておる。こんなばかにした話はないというようなことで、この時短問題についても具体的内容がさっぱりわからぬのに、二万人要るんだから合理化をやる、こういうような強硬方針に出られておる。
 さらに、白紙ダイヤの三万人につきましても??これは来年十月の問題だと思います。来年十月のダイヤ改正に三万人の人間が要る、具体的にこういうダイヤ改正をやるから三万人要るのだ、これらについても大体の推定ではないかと私考えておる次第でございますけれども、この時短の問題と白紙ダイヤの三万、五万の問題を、これだけ労働組合として十分話し合いをしてそれから話を進めようではないかと言っておるのを、もうとにかく来年早々にはめどをつけぬことには国鉄はやっていけぬ。きょうも運輸委員会で総裁はこう言っておりました。話をしておってもなかなか進まぬので、組合に最後の決心をしてもらうために最後通牒のようなものを出して、そうしたら組合のほうがいきり立ってこういうことになったのだ。これは堂々と運輸委員会で総裁が言っておられました。私も聞いておったようなわけでありますけれども、そのことばに私ははっきりあらわれておるのではないかと思っておるわけです。
 ここで、まことに話はこまかくなって申しわけないと思いますが、昨年の年末に勧告された時短の問題、さらに来年三万人要るといわれる白紙ダイヤの問題、これらについて、今日国鉄当局としてはどういうふうにして実行に移すのだ、こうやるから五万人の人間が要るんだ、この御説明をまず承りたいと思います。

○磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、むしろ私はその御質問のこまかいお答えをする前に一言御説明申し上げておきたいことは、冒頭に申し上げましたとおり、現在の国鉄の置かれている地位、現在の国鉄の企業的な一つの歴史的な立場というものは、いまやまさにほんとうにもうほうっておけば破局に近いといいますか、破局に向かって走っているというふうに申さざるを得ないと思います。これが私どものあらゆる仕事の認識の根本に立っておりますが、その中でやはり一番の問題は人件費である。たとえばことしの五月、六月の春闘の際における国会の委員会における御質問におきましても、どうして国鉄だけがほかの二公社五現業と違って、調停段階で一切の回答をしないのかという強いおしかりを受けました。しかし、私どもはどうしても現時点の予算内においては、調停段階でお金を出すことはできないということを申し上げまして、結局、仲裁に上がり、いま予算委員会で御審議のとおり、ことしのベースアップの所要額約三百三十億でございますが、これは一人当たり約五千円になりますが、各企業庁の最高の額でございます。この三百三十億のうちの半額はどうしても借金であるということで、いま予算委員会で御審議願っております私どものほうの補正予算案は、半額百六十五億を財政投融資で拝借する。そうして仲裁裁定を実施する。こういう予算の問題一つ取り上げましても、仲裁の問題一つ取り上げましても、ほんとにもうぎりぎりまで押し詰められた時点であるということがまず前提でございます。
 私どもは、そういう時点を切り開くためには、どうしてもこれから作業の機械化、近代化をやる以外に方法はない。十九世紀に発足し、ほとんど一世紀近くたったこの古い鉄道というものを、どうしてもここで新しくしない限り、これは衰亡の一路をたどるのみだというふうに考えまして、思い切って作業の機械化、近代化をやる。そして、そこから当然人が浮いてまいります。浮いてきた人を一番必要な輸送部門に振り向ける。それによって国民の足を確保すると同時に、国鉄の収入をあげる。これ以外にだれがやっても方法はないと私は思うのです。そこで私どもといたしましては、その五万人を浮かすために合理化するのでなしに、ここで鉄道企業を何とかこの曲がりかどを曲がらすために機械化、近代化をする。作業の機械化、古い一世紀前から同じことをやっていることを、ここで変える。そのかわりに金を相当入れて投資をする。たとえば電化をすれば、いままでの蒸気鉄道から電気鉄道になれば、当然人が減ってまいります。石炭を扱っていた人間は要らなくなるから、当然人が減ってまいります。要らなくなった人間を必要な輸送部門に振り向ける、これ以外にはどうしてもやりようがないと私は思います。したがいまして、今度の合理化案というものは五万人を捻出するための合理化案ではなくて、作業の機械化、近代化の過程において出てくる人間の数がおおよそ五万人、それを来年の秋の、国民に対する一つの御恩返しとしてやりまするダイヤ改正の所要人員の一部に振り向けるというのが一つ。
 もう一つは、先生の御指摘の時間短縮、国鉄の職員といえどもやはりなるべく労働時間を短くしたい。これは私も同じ気持ちを持っております。しかし、それにはやはり人が要る。ただ、その人を外から持ってきて時間短縮をやるのでは、国民に納得していただけないと思います。どの新聞を見ましても、国鉄は合理化が足りないということを始終いわれます。したがって、せめて労働時間の短縮ぐらいは、やはりお互いにはき出した人間の中からそちらに向けるというのが、考え方の筋だというふうに考えまして、時間短縮は、いまおっしゃったように約一万数千名要ります。しかし、これもいわゆる作業の機械化、近代化の過程から出てくる人間を振り向けて時間短縮をしていきたい、こういうふうに考えております。また、時間短縮の具体的内容については担当の井上常務が参っておりますので、私の説明を補足させていただくことといたします。
○後藤委員 去年の年末に、公労委から出ました時短の問題については、ことしの十月にも協定を結ぶようにやれ、こういう内容もあったと私記憶しておるわけでありますけれども、これはいまだにまだできておらぬということです。どういうわけでおくれているのでしょうか。

○井上説明員 確かに先生御指摘のとおり、案どおりのタイムテーブルどおりに進んでいないことは事実でございますが、先ほど副総裁から申し上げましたとおり、やはりこれには一万数千名という相当膨大な人間を要するわけであります。その人間を生み出すためには、先ほど来副総裁がるる申し上げておりますとおり、機械化、近代化によって生み出される人間をこれに振り当てようということが前提になりますので、そのほうの話も同時に進めなければ、時短だけでこれだけ浮くからということで、そのほうの話を先に進めるというわけにもまいらない。やはり話は同時に進行していかなければならないということで、その点は組合も了承していただいております。機械化、近代化の問題、それから時短の問題を同時にゴールインしていこうという点についての基本的な態度は、当方も組合のほうもすべて異存はございません。その点は団体交渉によって詰めるということでいま進行いたしております。

○後藤委員 それでいま、この年末のまことに忙しいときに、十二日以来ああいうふうなことでダイヤが乱れておる。これはかなりみんながいろいろな見方をしておると私思います。このまま進んでまいりますと、さらに十五日の午前中でございますか、二時間のストライキをやる、こういうような態勢が、国鉄労働組合なり、動力車労働組合の態勢ではないかと私見ております。きょうあたりの新聞にもいろいろ書いてありますが、当局の皆さんの説明を聞いておりますと、いままで言われましたように、二方、三万で五万、これは何も人間を浮かすためにやるのではない、機械化、近代化をするのだ、これは世の趨勢だ、そこにはからずも五万人浮いてくるんだという説明です。これはどっちから説明しましてもまあたいした変わりはないと思いますけれども、これはその合理化問題が中心になっておる。しかも、その合理化問題の中身も中心になっておろうけれども、あなた方がやられようとする持っていき方です。たとえば、年末におきましては検修体制の問題、電修場の廃止の問題、あるいは手小荷物等、数えると六つ、七つの問題を、まあ組合がどう言おうとこれだけはめどをつけたい。午前中の総裁の話じゃありませんけれども、めどだけはつけたい。
 さらに機関車乗務員の、機関助士を廃止してしまおう。これもことしの初めに動労のほうには説明があったそうでございますが、来年の四月ごろからやるという説明が、一月一日から実施をしたいというふうなことで、そういうふうなやり方自体が今日のこういう事態を起こしておる原因ではないだろうか。聞くところによりますと、両組合におきましても、合理化問題につきまして反対はいたしておるけれども、この問題についてはこうだ、この問題についてはこうだといって、きちっと整理をしておるそうでございます。何でもかんでも、とにかくまっこうから反対なんだという態度ではないと私見ております。ただ、これらの問題を、労働組合と管理者側のあなた方のほうと、十分な話し合いもせずに、来年四月にやると言っていたものを一月に繰り上げて実行しようとしたり、あるいはいままで団体交渉もやらずに一片の説明だけで終わってしまって、すぐ合理化の実行に移してしまおう、こういうふうな無理な持っていき方をされたところに今次のようなこういうかっこうが生まれたのではないだろうか、こういうように私は考えておる次第でございます。
 さらに機関助士の廃止の問題です。私はこういう問題につきましては、過去いろいろと経験もございますが、大きな五トン以上のトラックにおきましては、やはり助手が乗っております。これは非常に抽象的な言い方でございますけれども、これが万一あなた方がおっしゃるように、一月一日から助士は廃止をしてしまって、それで六千人か七千人の人間を浮かしてしまう、これをさっきのほうに使うのだ、こういうようなことになってまいりましたときに、はたして安全が守れるかどうだろうか。たとえば踏切事故を起こした場合、私が申し上げるまでもなく「あさかぜ」が踏切で自動車と衝突して機関士が即死してしまった。そこに九〇五五列車が来た。幸いそこに機関助士がおったから、相手の機関車をとめて、第二の事故を防止することができたわけです。ところが、あなた方が計画されておるように、機関助士はもうなしだ、機関士一人で運転するのだ、??人間なま身のからだですから老少不定、わかりません。運転中にでもころっと死んだら一体どういうことになるのだ。そこまで心配したら答えることはできぬわいと言われればそれまでかもしれませんけれども、私はそんなものではないような気がするわけです。少なくとも、国鉄始まって以来何十年になりますけれども、いまあなた方が計画されておる機関助士の廃止一つを取り上げてみましても、しかも、もっとその問題については十分組合と話をするというのならわからぬことはございませんが、四月に実施するというのを一月に繰り上げて、来年正月からやるのだ、こういうふうな行き方につきましては、私は皆さんの言わんとする筋はわかりますけれども、人間は感情の動物でありますから、どうもこじらかす原因がそこらにあるのではないだろうかというふうに私は考えるような次第でございます。この点についてどうお考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。

○磯崎説明員 ただいまのお話は、先生がお聞き及びのとおりならば先生のおっしゃるとおりだと思います。ただその点、私はこういう立場におりますので、うちの部内の問題をとやかく申し上げて、ここで、だれがどう言ったああ言ったと言うことは、私の恥になりますので申し上げません。ただこの問題は、先ほど申しましたような根本的な立場に立ちまして、実はことしの三月から両方で相当突っ込んで話をしてまいって、決して一、二カ月前に突然として言い出したことでないことはお聞き及びのとおりだと思います。ただ相当項目がございますので、その中に交渉の濃淡の程度に違いがあることもございます。しかしながら、私どもといたしましては、できるだけ団体交渉で話を進めたいということで、現時点におきましてもなお団体交渉の最中でございます。たとえば昨日も、名前は申し上げませんが、ある幹部と私も会っております。また一昨日も会っております。そういうふうなことで、いわゆる大っぴらの団体交渉もあるし、あるいはほんとうの首脳部の話し合いもあるしということで、いろいろ詰めている最中でございます。その最中に、その団体交渉にいわゆる圧力をかけるという形で、この十二日からけさまでの姿とか、あるいは明日に計画しておる姿というものは、お互いに最も平和的な団体交渉をしている、それに圧力をかけるためにしては、私は、いままでの私の経験から申しまして、少し度がきついのじゃないかというふうに考えます。私どもが団体交渉を拒否したり、あるいは団体交渉をしないと言っているなら別であります。連日やっているわけであります。その連日やっている団体交渉に圧力をかける、圧力をかけるのに利用者を困らせるということは、私としてはどうしても納得できないところであります。いま私どもは、今日もなお精力的にやっております。ですから団体交渉の最中でございます。したがって、私どもとしては、団体交渉というのは、あくまでも平和的に、お互いの言うところを言い、そして結論に持っていくのが筋だ、こういうふうに思いますので、私どもといたしましては、今後とも団体交渉を続けていく気持ちでございます。
 もう一つ、先生のおっしゃいましたうちの一つの問題で、機関助士の問題でございますが、たいへん詳しくなりますからこまかいことは省略いたしますが、私ども何も一月一日から全部機関助士をやめるなんということは一言も申したことはございません。その点は何か、そういう御質問があって、私、びっくりしたのでございますが、そんなことは、いやしくも事故が起これば、私ども自身が被害者のお宅に伺って、何日でもおわびをするという経験を何べんもしております。そういう立場におりながら、そんなことができるということをお考えになっているのは非常に私ども残念でございます。そんなに私ども不まじめに安全の問題を考えておりません。したがって、その点は十分段階を追って、たとえば直接本線を走らない列車からやるとか、あるいは機関助士がいままでやっていた設備を機械にかえるとかというような段階を追ってそういうところに進むという目標は持っております。しかしながら、一月一日から全国の機関助士をやめてしまうのだともし先生がほんとうにお考えになったとしたら、私はたいへん残念でございます。いやしくも私どもこれだけの仕事を預かっている以上、そういうむちゃなことは絶対いたしませんし、そういうことは毛頭考えておりません。ただ、機関助士を廃止しようと思えばいろんな設備が要ります。その設備の準備もなしにそういうことはできませんので、その設備の準備は始めます。しかしながら、実際の具体的な問題では、いまたまたまおっしゃいました「あさかぜ」の問題も、私、よく知っております。あの場合、機関助士がいなかったら、あるいは三河島と同じような事故になったかもしれません。そういう場合、一体どう防ぐのかという問題も、十分機械的にチェックできるかどうかということを考えた上でやるのも、これは私ども善良なる管理者としての責任だと思います。その点、私は決して安全の問題をゆるがせにして合理化をするとか、安全の問題をゆるがせにして機械化、近代化するとか、そんな私は宙に浮いたような考え方を絶対持っておりませんということをはっきり申し上げます。

○後藤委員 いまあなたが言われました一月一日にやろうというような気持ちは全然持っておらぬ、たとえば機関助士廃止の問題につきましても、これは先ほど私が言ったのは、全部廃止かどうかということは別問題として、廃止の問題が出ておるから、廃止ということばだけで片づけたわけですから、これを実施に移すについてはそれにかわるところの安全装置が必要なんだ、それをきちんとせぬことには助士の廃止というのは一切やらぬ、当面、そういうことをやろうという目標は立てておるけれども、いつからやるというようなことはまだめどが立っておらぬ、そういうふうに解釈をさしていただいてよろしいのでございますか。

○磯崎説明員 その点は、この場所が場所でございますので、具体的にそういうことを申し上げる場合でございません。そういう点は十分団体交渉でやることだと思っておりますが、ただ、いま申し上げたとおり、一月一日から全部助士を廃止するなどということにはいたしません。もちろん廃止するにいたしましても、たとえば入れかえから始めるとか、あるいは本線を走らない列車から始めるとか、それからすでにほとんど全列車にはATSがついていて、万が一のときには列車はとまるようになっておりますが、そういう設備も完備する、あるいは信号も、手の信号から自動信号に変える、あるいはタブレットも要らなくなるというようなこと、そういう裏づけを行なって、そして安全が確保されるという自信がついてから私は始めます。その点ははっきり申し上げておきます。
 あとはこまかいことでございますので、団体交渉の場で話をいたしたいと思っております。

○後藤委員 それは団交の場でけっこうでございますが、いまあなたが言われた、私は機関助士全部ということはさっきから言っておらぬと思います。全部廃止する、廃止せぬと言いましたから、その後の考え方がちょっと私の言わんとするところと食い違っておりますので……。先ほどから言っておりますのは、機関助士全部を廃止してしまうのだという意味ではなしに、十分わかっておられるので機関助士廃止ということばで表現しましたので、そこはひとつ誤解のないように私はお願いをいたしたいと思います。
 そこで、いま国鉄労働組合なりあるいは動力車労働組合との間におきまして、先ほど副総裁が言われたように、団体交渉はやっておる、こういう説明でございますけれども、しかし、まだまだ、事、合理化問題につきましては、やっておられる件もあるかもしれませんけれども、あなた方がもう年内にめどをつけようとされておる問題で十分なる団体交渉は行なわれておらない、これは私はっきり言えると思います。その辺のところから今度のこういう関係の順法闘争になったのではないだろうかというふうに思うわけでございますけれども、それはあなたも先ほど言われましたように、正式団体交渉もあれば、またいろいろ話する場合もある、それはやっておられると思います。しかし、動労の皆さんの話を聞きましても、さらに国労の皆さんの話を聞きましても、彼らの言っておるのは、合理化を全面的に全部何でもかんでも反対だということは言っておらぬわけなんです。話を十分しましょう、そうして国民が安全であるという納得のできるような線で、話がついたものからしてもよろしいのだ、この問題と、この問題と、この問題についてはもういいのだ、こういうようなところまで私は話を聞いておるわけなんです。そうだとするなら、いまあなた方が言っておられる年末における六項目、あるいは職場の団体交渉権の、いわゆる協議会の問題ですか、これらの問題につきましても、さらに時短の問題につきましても、これから十分話し合いをしていただく。そうすれば、この十五日の二時間の問題も解決するでありましょうし、この年末における交通関係の非常に忙しいときに、こういう情勢につきましても解決するであろうと私は考えておる次第でございますので、ぜひひとつ今次の国労なり動労の関係における問題につきましては、国鉄当局のほうで十分御一考をいただいて、労使の間で団体交渉を強めていただき、その中でも特に困難な問題については来年に持ち越していただく、そういうふうな方向で一刻も早く解決をしていただく、このことが当面一番急な、しかも大事なことではなかろうかというふうに私自身としては考えておる次第でございますので、ぜひひとつ、先ほどからいろいろ申し上げましたように、国鉄の財政危機の問題につきましても、十分承知をいたしております。国鉄の幹部の皆さんがいかに苦労しておられるか、これは副総裁のことばを聞くまでもなく、私も了知をいたしておるつもりです。さらに、今度の合理化問題につきましては、あまりにもあなたのほうがせっかちになられたのじゃないか。全部が全部そうだとは言いませんけれども、多分にそういうようなことが加わっておるのではないだろうか、こういうふうにも考えられるわけでございますので、ぜひひとつ、いま申し上げましたような方向で、政府に対しましては全力を尽くして当たっていただく。お金の問題、要員問題もありましょうし、いろいろな問題がからんでおるだろうと思いますが、事、合理化問題については、相手の労働組合の組合員も、組合員という前に、やはり二十年間、三十年間鉄道で働いてまいりました専門的な知識を持っておる労働者だと思います。そういう者の気持ちを無視した中でやっていくということは、これまた考えざるを得ないというようなこともいろいろ問題がございますので、乗務員の関係、その他電修場の問題にいたしましてもそうだと思います。全国で八カ所でございますか、この間も私が滋賀県に参りましたら、家族が百何十名、全部集まっておりました。いよいよおとうちゃんの職場がなくなってしまうが、一体どうしようかというようなことで、もうつとめておる職員だけの問題ではなしに、家族がこのごろ真剣でございます。どうしたらいいんだ。あそこができましたのは大正四年でございますけれども、大正四年から今日まで、信号関係の、申し上げるまでもなく大事な仕事を長い間やってきたわけです。これらを全部外注にしてしまう、これで一体国鉄の安全が保てるのかどうかというような、いろいろな心配も出てまいりまして、国鉄労働組合、動力車労働組合が、理屈抜きに合理化に反対しておるんだというお考えがあるとすると、これは間違いでございますので、やはりあるときは同じ国鉄の立場に立ちまして国鉄の将来を考え、国民の立場を考えて、あの人方も真剣に今日がんばっておるような次第でございますので、どうかひとつ、いま申し上げましたような点も十分考えていただいて、さらに労働省なり運輸省といたしましても、これらの問題の早期解決のために、ひとつしっかりと話をする方向で前進させるように努力をお願いいたしたいと思っております。このことに対しまして副総裁から最後のお話を聞きまして、私、終わることにいたします。

○磯崎説明員 私もやはり四十数万の職員の一人でございまして、彼らが長い間働いた職場を離れなければならないということについては、非常に深い同情と関心を私は持っています。もちろんできるだけなれた、経験のある職場に働いてもらいたいことは事実でございますけれども、やはりそれが近代化され機械化されて要らなくなれば、新しい、もう少し国民の直接役に立つような職場にかわってもらうということも、これまたやむを得ない場合もございますので、十分組合員諸君、言いかえれば職員諸君の立場を考えて、そういうことを善処してまいりたいということをお約束申し上げます。

○後藤委員 労働大臣が、待っておりましてもお見えになりませんので、ひとつ次官にお願いするのですが、国鉄の今日の情勢につきましてはお聞きのとおりでございますので、これはぜひひとつ、こういう時期でございますから、先ほど申し上げましたような趣旨に沿って、善後策、善処を講じていただくようにお願いしたいと思うわけですが、ぜひ、ひとつ大臣のかわりとして御感想をお願いしたいと思います。

○井村政府委員 先ほど来から御質疑応答等を聞いておりまして、私もいろいろ承知いたしましたが、何と申しましょうか、日本の労使の間で、国鉄の労組と国鉄当局は、私は非常に賢明であると存じております。非常に賢明な労使関係だと存じます。いま熱心に団体交渉が煮詰められておるから、必ずや近い将来、私は平和的に解決されると存じております。これがもし労働の過重となり、あるいは首切りというふうな問題があれば、われわれは場合によっては国鉄当局、運輸省にアドバイスする考えでおります。いまのところは、静かに、平和的に解決されることを、私どもは希望して臨んでいきたいと存じます。 

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