スキップしてメイン コンテンツに移動

第58回国会 参議院 本会議 第3号 昭和43年1月31日

 昭和43年1月に開催された、参議院本会議での質問ですが、人員合理化に関する質問として、社会党からの質問がなされていますが、この辺は注目しても良いのではないでしょうか。

以下、引用

国鉄の五万人の合理化問題は、基幹産業という名のもとに、独占資本の特別運賃輸送や赤字線区の建設、借金をさせての膨大な工事計画などで採算の合わない政策を押しつけるために、労働者の犠牲による合理化を徹底してやろうとしてこの案が作成されました。輸送力は四十六年には二百五十万キロに達するわけですから、増員こそ必要なのに、このような提案は、首切り、労働条件の低下を招き、安全輸送に影響を及ぼすものではないか。

この後も、批判は続くのですが、傍線の部分は、国鉄発足当初からずっと言われ続けてきたことでもありました。
この辺は社会党の質問と言うこともありますので、ある程度割り引いて考慮する必要はありますが、赤字線区の建設や借金させての膨大な工事計画というのは、其れに見合う利子補給なり、建設公団からの無償貸付もしくは低利の貸付と言った方向性を見いだしていたならば、また違った側面を見せることになっていたかも知れないですよね。

 

 *****************************************************************

昭和四十三年一月三十一日(水曜日)
   午前十時九分開議
    ************************
○議事日程 第三号
  昭和四十三年一月三十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ************************
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ************************
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略
いたします。
    ************************
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 去る二十七日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。椿繁夫君。
   〔椿繁夫君登壇、拍手〕


○椿繁夫君 私は、日本社会党を代表して、過日行なわれました政府の施政方針演説に、若干の意見を加えながら所信をただしたいと思います。

 前略

 国鉄の五万人の合理化問題は、基幹産業という名のもとに、独占資本の特別運賃輸送や赤字線区の建設、借金をさせての膨大な工事計画などで採算の合わない政策を押しつけるために、労働者の犠牲による合理化を徹底してやろうとしてこの案が作成されました。輸送力は四十六年には二百五十万キロに達するわけですから、増員こそ必要なのに、このような提案は、首切り、労働条件の低下を招き、安全輸送に影響を及ぼすものではないか。したがって、撤回すべきものと考えるのでありまするが、どうですか。機関助士の廃止は合理化以前の暴挙であり、保安を全く無視しているのではありませんか。検修新体制にしても、経費節約の美名のもとに各地方間の競争と職場の締めつけ、要員の圧縮が行なわれます。このようにした結果、事故が起きたら一体どうするのですか。その責任を総理大臣や運輸大臣、あなた方が負うのですか。国鉄の赤字問題は、国家がどの程度協力するかにかかっているわけです。造船には百二十五億の利子補給をし、国鉄に五十四億とは非常におかしい、増額すべきではないでしょうか。国鉄運賃や私鉄運賃の値上げは国民生活に非常に大きな圧迫を加えておりまするので、運賃、定期とも値上げを差し控えるべきではないですか。特に私鉄が巨額の利潤をあげておりながら、これに便乗をして定期代の値上げをはかるというのは許せません。所見を承りたいのであります。運輸省は汚職が多過ぎます。綱紀粛正の措置と運輸行政の今後のあり方についてのお考えをお聞きいたします。

 中略
 


   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 国鉄の定期代の値上げは極力回避するように努力をいたしましたが、本年度は財政緊縮のために公共負担を願わなければならなかったのは、まことに遺憾でございます。国鉄から改定の申請が出ておりますが、通勤については六八%を五三%に切り下げる、通学については八七%を八一%の割引率に切り下げるという案であります。四月一日にこれは認可する予定でありますが、社会政策的見地から、生活保護世帯、母子福祉年金受領世帯、児童手当の受領世帯、これは据え置き、それから小学校、中学校の義務教育も据え置き、高校生と職業訓練所の生徒は国鉄の申請を・一〇%切り下げる、こういう方針で認可する考え方であります。
 なお、私鉄につきましては、国鉄と財政事情等が違いますので、極力これは抑制していく所存であります。
 綱紀粛正につきまして御注意をいただきまして感謝にたえません。先般、人事の刷新をやり、行政処分をやりましたが、今後とも執務体制を刷新強化して、特に自動車行政、陸運行政については改革すべき点が非常に多いように思います。こういう点につきましても、機構その他の改革も行ないまして、将来戒めていきたいと思っております。(拍手)

後方省略


○副議長(河野謙三君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十九分散会
     ?????・?????
 

********************************************************
取材・記事の執筆等、お問い合わせはお気軽に
blackcat.kat@gmail.comにメール またはメッセージ、
コメントにて お待ちしております。
国鉄があった時代 JNR-era

********************************************************

コメント

このブログの人気の投稿

北陸本線、北陸トンネル列車火災事故に関する特別監査について 一回目

北陸トンネル事故 北陸トンネル内で車両火災が発生し、食堂車の車内から発火、この時点ではその原因が特定されて居らず、石炭レンジの火の不始末説や、煙草の消火不完全等が原因ではないかと言われていました。 この事故では、トンネルに入って間なしであったこと(当時の管理局の規程でもトンネル内は極力避けて停止となっていたが、北陸トンネルを走行し続けた場合6分程度かかるため、この間に更に火災が燃え広がる恐れがあるとして、乗務員が規程に従い停車した訳で、監査報告書でもこの措置には誤りはないとしています。 しかし、その後停電発生更には、トンネル内の照明が運転の支障になるとして消されていたことも避難誘導を行うのに不利に働いたと言われています。 監査報告書では、国鉄にさらなる安全投資の実施なら浴びに設備の近代化を図るとともに、労使の難しい関係はあるものの、「労使による事故防止委員会等の場を活用するなど、相互の意思疎通を十分にはかり、安全施策に関する建設的成果を得るよう労使とも努力することを期待してやまない。」として、労使双方の安全輸送に対する意識を高めることを期待しています。 なお、報告書自体は非常に長いので2回に分けてアップさせていただきます。 5特別監査報告 北陸本線北陸トンネル列車火災事故 (写〉 監委事第73号 昭和48年1月16日 運輸大臣 新谷寅三郎 殿 日本国有鉄道監査委員会委員長 金子佐一郎 北陸本線北陸トンネル列車火災事故に関する 特別監査報告書について 昭和47年11月8日付鉄保第81号により御命令がありました北陸本線北陸トンネル列車火災事故に関する特別監査については、その監査結果を別冊のとおり取りまとめましたので御報告します。 別冊 北陸本線北陸トンネル列車火災事故に関する特別監査報告書 昭和47年11月6日、北陸本線敦賀・今庄間北陸トンネル内において多数の死傷者を生ずる列車火災事故が発生しました。これに関して、同月8S,運輸大臣から、事故の原因および事故発生後の措置をはじめ、国鉄の保安管理体制のあり方について特別監査を行ない、その結果を報告するよう御命令がありました。 監査委員会は、即日、監査を開始し、国鉄本社役職員ならびに金沢および新潟鉄道管理局の関係職員から説明および意見を聴取するとともに、現地調査を3固にわたって行ない、国鉄の実情を詳細に検討いたしました。

東海道本線鶴見・横浜間における運転事故 報告書 全文(後編)

東海道本線鶴見事故の事故報告書後編となります。 前編は こちら をクリックしてください 鶴見事故は起こるべくして起こったと言うよりも予測不可能な事故であったと言えるわけですが、競合脱線という言葉がこの時初めて提起されたわけですが。 結局、最終的には複合的な要素があったとは言え、どれが確実な原因と言うことは特定できず、最初の脱線を引き起こしたワラ1(走行試験を省略)していたことに対する非難はあったものの、最終的にワラ1そのものに問題があるとは言えず、車輪踏面の改善などが行われ、昭和59(1984)年の貨物輸送のシステムチェンジが行われるまでは、二軸貨車の中核として活躍することとなりました。 ワラ1形貨車 画像 Wikipedia Ⅲ 事故発生の背後的問題 1 類似事故の究明不足 先に述べたように、 今回の事故の原因はいまだ最終的には究明されていないが、 過去においても類似事故が相当数見受けられる。 国鉄の脱線事故は、昭和27年以降は年々減少してきたが、 なお最近5箇年間の列車脱線事故のうち、その原因が線路と車両とに関係があると思われるものが69件あり、このうち、主体原因が不明確で線路関係と車両関係のそれぞれの条件が競合して悪作用した結果であるということでその原因を処理したものは9件を数えている。 このように、 主体原因が不明確のまま競合事故として処理されたものがいまだあることは、事故の原因の究明が部分的なものにとどまり、総合的あるいは動的は握に欠けるところがあつたことによるものといわざるを得ず、このようなことが今回の事故原因のは握を困難にしているものと思われる。 なお、事故の原因を究明し、 これが対策を発見するためには、 多数の事故を統計的手法により分析整理することが効果的であると思われるので、 今後実効的な解析の推進に努力する必要がある。 2 線路と車両の総合的管理の不足 国鉄では輸送の安全を確保するため、 運転、 施設、 電気、 車両等それぞれの分野において、 専門的に深い研究を行なっており、 高度の技術水準にあるが、これらを総合した研究特に線路と車両との動的関係においての総合的究明には不十分なものが見受けられる。 線路においては、部分的には車両の動的影響の測定も行ない、 また最近、高速度軌道試験車により車両運転状態における軌道の変位測定が可能とな

三河島 駅列車衝突事故 特別監査報告書 全文

資料として、三河島事故に対する特別監査報告書の内容全文をここにアップします。 国鉄監査報告書昭和36年版 p277~P288から引用しています。今回の三河島事故では、最初の衝突後、十分列車防護をする時間が有ったにも関わらず、当事者(貨物列車乗務員、及び下り電車乗務員)が適切な防護措置を取らなかったこと、(本来であれば、支障した時点で前後の列車に対し、発煙筒・信号短絡等の措置を取ることが義務づけられている。)さらに、乗客がドアコックを開放して線路に降り立ったこと等の複合的な要因が重なり、支障した下り電車が対向の電車と接触大破して、上り電車乗務員が死亡乗客の多くも犠牲になった事故で、運転士・機関士の列車防護措置に対する怠慢が指摘されたほか、組織として支社が十分機能せずに管理局にしわ寄せが来ていること。更に管理局も現場への管理が形式的文書的な指導になりがちで、現場が十分に実務指導等を行える状況になっていないことなども指摘されており、東京鉄道管理局の三分割に繋がる、組織の改編などにも言及されています。   常磐線三河島 駅列車衝突事故特別監査報告書提出について (写)      監委事第 20 号    昭和 37 年 6 月 14 日 運 輸 大 臣   斎 藤 昇 殿 日本国有鉄道監査委員会委員長 石 田 礼 助  常磐線三河島駅列車衝突事故特別 監査報告書提 出 に つ い て (報告) 鉄保第123号の御指示に基づい て、常磐線三河島駅列車衝突事故に関し、調査検討した結果を別冊のと おりとりまとめましたので御報告いたします。 常磐線三河島駅列車衝突事故特別監査報告書 昭和37年5 月4日付で、常磐線三河島駅列車衝突事故 に関し、運輸大臣より事故の原因を究明するとともに、特に国鉄の管理体制のあり方について、 特別監査を行なうよう御指示がありましたので、 監査委員会において、昭和37年5月7日以降17 回にわたり委員会を開催し、審議いたしました。   事故の状況は、後に述べるとおりでありますが、本委員会は直接の原因のみならず、事故防止の観点から、広く間接的な諸原因について究明する事が重要であると考え、国鉄補本社役員、局長、関東支社長、東京鉄道管理局長及び現場長等について、状況、意見を聴取するとともに、本件に関し、国鉄の実情を詳細に調査検討いたしました。   さらに、