国鉄長期債務等の処理方策等について
昭和 61 年 1 月 28 日閣議決定
日本国有鉄道の長期債務等の処理に係る基本方針等は下記のとおりとする。
記
1. 日本国有鉄道の改革の実施に当たり、日本国有鉄道の長期債務等の処理問題が最重要課題の 一つであることにかんがみ、政府は、昭和60年10月11日閣議決定「国鉄改革のための基本的方針について」によるほか、次の方針に従いその処理を推進するものとする。
(1) 日本国有鉄道再建監理委員会(以下「監理委員会」という。)の意見によれば、「旧 国鉄」 (上記 閣議決定の記第4の日本国有鉄道の清算等のための組織をいう。
以下同じ。)において処理される長期債務等の額は、25.9兆円程度におよび、用地5.8兆円程度、新幹線保有主体からの収入2.8兆円程度等の自主財源を充ててもなお最終的に残る長期債務等の額は、16.7兆円程度となるとされているが、この最終的に残る長期債務等の額を極力圧縮することとし、次の措置を講ずる。
① 売却可能な日本国有鉄道の用地の生み出しに努め、監理委員会試算5.8兆円にでき る限り上乗せを図る。
このため、用地の生み出しとその付加価値を高めるための方策及び用地の評価に関 し第三者機関の意見を聴き、これらを公正かつ適切に行う。
② 日本国有鉄道の債務について、より有利な資金への借換え等を検討する。
(2) 新事業体に引き継がれない日本国有鉄道の長期債務等 (監理委員会試主~25.9兆円)は、 旧国鉄に帰属させ 、最終的な要処理額の見返しが得られる までの間当面、用地売却、借入等を行い、債務の償還、雇用対策等を実施するものとする。
なお、旧国鉄に帰属した長期債務等の処理のため、財政事情の許容する範囲内で必要 な国庫助成を行うとともに、「旧国鉄」の資金繰りの円滑化を図るための所要の措 置を講ずるものとする。
(3) 「旧国鉄」は、日本国有鉄道から運輸業務を数事業体に移行した後の長期債務等 の処理、用地の処分、余剰人員対策等を行う清算法人的組織であり、「旧国鉄」に おいて自主財源を充ててもなお残る長期債務等については、最終的には、国におい て処理する。
(4) 本格的な処理のために必要な「新たな財源・ 措置」については、雇用対策、用地 売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しと あわせ検討、決定する。
(5) 政府は、今後引き続き国鉄改革に関する関係閣僚会議において、所要の措置を検 討するものとする。
2. 昭和 61年度においては、日本国有鉄道の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現する ための体制整備に資するための緊急の措置として次の措置を講ずるものとする。
(1) 日本国有鉄道が資金 運用部から貸付けを受けた長期の資金に係 る債務のうち棚 上げ措置を講じている特定債務( 5兆599億円)については、一般会計が承継する。こ の場合において 一般会計は同額の資金を日本国有鉄道に対し無利子で貸し付けたも のとする。
(2) 日本国有鉄道の 職員の希望退職の促進を図るため、退職時の給付の臨時の特例を 設けること とする。 そ のための経費に係る資金調達につき政府は政府保証を付す 等、資金確保に特別の配慮をするものとする。
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