下記の建議は、鉄道建設公団設置に伴う鉄道建設審議会会長赤城宗徳氏による建議書であるが、ここで注目すべきは。
- 鉄道新線の建設を道路 港湾整備等と同様に政府の公共投資とする と明言している
- 新線建設については、政府が公共事業として、その主たる財源を負担
- 日本国有鉄道はその公共性の立場から、地方公共団体はその受益の立場から、 それぞれ財源の一部を負担
とされています。
明確に、国が責任を持ってと言いつつも、国鉄は昭和40年始め頃まで額は減少しつつありましたが、昭和39年の赤字決算以降も国鉄からの出資も続くこととなり。
さらに、地方ローカル線は無償譲渡とはいえ、その運営は国鉄が担うこととなるわけですから、大きな矛盾を内包していたわけです。
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建議
昭和37年5月31日
鉄道建設審議会会長赤城宗徳
内閣総理大臣 池田勇人殿
経済企画庁長官 磯山愛一郎殿
大蔵大臣 水田 三喜男殿
運輸大臣 齋藤 昇殿
自治大臣 安井 謙殿
鉄道敷設法第4条第3項に基づく鉄道新線に関する建議
鉄道建設審議会の決議に基づき左のとおり建識する。
(新線建設の規模)
1. 最近におけるわが国産業経済は著しい成長を続けているが、諸施策に先行して整備されなければならない諸産業基盤の不備が、 産業発達の偏重となり、既成地城密集の弊害となって現われ、徐々にではあるが国家経済発展の均衡を失しつつある現状である。
しかるに産業基盤としての鉄道網の整備はややもすれば遅れ勝ちとなつている現状であり、 就中、 鉄道新線の建設については、その傾向は基しく、数年来の建設費の規模とその進捗状況を考察すれば、 今後の国家経済の発展上真に寒心に耐えないものがある。
よつて、産業機構の地域的再編成を意図する政府の諸施策の一環として、今後、早急に整備しなければならない地方経済圏の整備 低開発地域の開発、臨海工業地帯の整備及び新産業都市建設等に必要な新線並びにさきに当審議会が着工線として建した新線及び調査線中速かに完成せしめるべき新線等を考察すれば、今後における新線建設の規模は昭和38年度以降10箇年間において、約5,000億円程度とするを適当と認める。
(新線建設の財源)
2. 鉄道新線の建設は、日本国有鉄道の公共的使命から、従来、その負担のみにおいて実施されて来た所であるが、独立採算制の建前から、とかく企業性の範囲内に制約され勝ちであつて、これを積極的に推進し得ないのが実情である。
しかるに鉄道新線の建設は一般国民に与える有形無形上の便益の増大と国家経済に与える効果の多大なるとに鑑み、国家的な政策上の見地から論ずべきであり、日本国有鉄道の企業的立場からのみこれを論ずべきでないことは明らかである。
従って、この矛盾解決の方法としては、鉄道新線の建設を道路 港湾整備等と同様に政府の公共投資とする以外にないものと思料せられる。
よって、今後の新線建設については、政府が公共事業として、その主たる財源を負担すると共に、日本国有鉄道はその公共性の立場から、地方公共団体はその受益の立場から、 それぞれ財源の一部を負担するを適当と認める。
(新線建設の施行方式)
3. 鉄道新線の建設は前述の如き状況であるに鑑み、これを積極的に推進するため、日本国有鉄道とは別個の組織、 (例えば鉄道建設公団の如きもの)をもって対処するを適当と認める。
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