鉄労は当初、地域本社制導入を提唱しますが、その後分割民営化容認に舵を切ることとなり、国労からは鉄労の裏切りと罵られることとなるのですが、その辺を示す資料と言うほどのものではありませんが、国鉄部内紙、国有鉄道1984年10月号「視点・論点」と言うシリーズの中で、組合関係の様子を抜粋して記述されている記事があり、その中で鉄労は地域本社制を導入することを決めたとしています。
ただ、ここで気になるのは、鉄労の提唱する地域本社制は、「旧支社程度の単位に本社機能を分権化し、経営陣に民間人を採用する」ことで、現在の経営形態でも可能と言いながら、「全民労協は 中略。国鉄が公社制から脱脚、地域本社制を中心とした経営体制になれば、これに加盟する資格も持つことになる。」ということで、マスコミは分割民営化を容認したのかと確認したように、後段の話だけを聞くとこのように聞こえるわけですが、鉄労が考えていた地域本社制は、あくまでも旧支社体制であり、支社の経営陣に民間の血を導入することで対応が可能なのではないかと発言しています。
当時の「全民労協」は民間主導で進められていたわけで、一足先に民営化された、NTTは全民労協に加入することは1984年時点で決まっていたので、その辺を意識して発言したと思うのですが、そうなると、マスコミが言うように民営化を容認したと考える方が素直ですし、更に地域本社制と言うことで、地域ごとに権限を持たせると言うことは分割も容認したと考える方が素直だと思うわけですね。
そう考えると、鉄労の意図は十分マスコミに伝わらず、更に その結果、分割民営化されたことによるサービスの低下が大きいことを考えると、鉄労幹部の発言は正直重いと言えそうです。
地域本社制導入案を承認
鉄労(辻本滋敬組合長,約3万5000人)の第17回大会は,国鉄内主要組合の大会としては最後の9月4日から7日までの4日間,石川県山中町で聞かれた。議長席には長沢昭夫(仙台)、下田孝士(金沢)、岡田秀夫(大阪〉各代議員がついた。
はじめに辻本組合長が立ち、組織拡大の重要性を84春闘の連敗や最近の雇用不安の状況などを踏まえながら次のように述べた。
「鉄労提言の地域本社制導入は実現させなければならない。国鉄問題の詰めが国会の場に移った時のために超党派の国会議員による「鉄労を支持する国会議員懇談会J(仮称〉を設ける。当面する余剰人員問題は合理化の宿命で、当然解決策を考えなければならない。といって活用策を考えず調整策だけを提案するというのは本末転倒だ。あくまで雇用安定協約を締結し、余剰人員の活用方と退職、休職、出向の具体的条件を組合員の立場から納得できるものにすることを中心に交渉する。
全民労協は本年秋に協議体から連合体へ移行する協議を行う。国鉄が公社制から脱脚、地域本社制を中心とした経営体制になれば、とれに加盟する資格も持つことになる。加盟の方向を明らかにしたい。そうした鉄労の民主化闘争のためには組織拡大が絶対に必要だ」
論議は
- 鉄労提言の地域本社制導入
- 余剰人員問題
- 組織拡大
とくに提言については、
- 分割・民営化論との違いを明らかにすべきだとする意見
- 率直にその方向へむいたワンステップとするべきだ
矢後副委員長の経過報告には塩島武士〈大阪)、大塚尚武(東京)、横山邦三(名古屋〉各代議員らが、志摩書記長の方針案については玉木淳夫(新潟)、船津寿幸(門司)、木村繁信(金沢〉各代議員らが、それぞれ発言した。最後に志摩書記長が総括し、「組織拡大は着実に進めよう。余剰人員問題の56歳以上についての扱いは強制的でない限り前向きに対処する。提言実現は雇用を守るためで、場合によっては職員はクドンなども売れるよう資質を変える必要もある。内容不十分の点は協議して詰めていく。基本的には経営形態の分割化と経営手法の民営化ということだ。3本柱を積極的に受け止められないのは、当局がそれで国鉄再生が可能だと確信を示していなし、からだ」と答弁した。なお三塚博自民党国鉄再建小委員長が来賓挨拶した。
このほか、全動労(遠藤泰三委員長、約2、800人〉は7月16日から19日まで北海道の定山渓で第11回大会を、全施労(杉山茂委員長、約2、500人〉は8月23日から25日まで名古屋市で第15回大会を聞き、それぞれ向こう一年間の新しい方針を決定した。この中で、全施労は「組合員不在の対決至上主義戦術は当局の攻撃に拍車をかける結果になる」とし、従来どおり「職場と仕事と技術を守る」基調を確認した。
続く
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