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第87回国会 参議院 運輸委員会国鉄問題に関する小委員会 第1号 昭和54年5月30日


 国鉄改革以前に本格的な国鉄再建に関しての議論が行われており、今回は参議院における、運輸委員会国鉄問題に関する小委員会に関しての記述がありましたので、今後随時アップしていきます。

ここで書かれていますが、国鉄財政は昭和39年度決算で赤字を計上してから悪化の一途で、あり、昭和42年には累積剰余金を食い潰し、昭和46年からは原価償却前でも赤字を計上することとなり、本格的な国鉄再建が検討されることとなりました。

それまで拠出してきた、鉄道建設公団への出資金は中止になった他、さらなる合理化などを進めることとなりました。

その一環として行われたのが生産性運動であり、さらなる合理化でしたが、国労・動労による反マル生運動では、当局が大幅に組合に譲歩したことから、その後の組合運動では、合理化などが思うように進まなくなりその結果、国鉄の財政は以下本文にも書かれていますが、さらに悪化することとなりました。

  国鉄は三十九年度に単年度で赤字になって以来赤字額は増加を続け、四十六年度には償却前で赤字となり、石油ショック以後急激に赤字額が増大しております。この結果、助成前の実質欠損額は、五十二年度は九千九百二十五億円となっております。また、五十三年度補正予算では、同じく実質で一兆一千二百八十二億円、五十四年度予算では一兆一千九百八十二億円の欠損を見込んでいます。また、累積欠損額で見ますと、五十年度までの累積欠損は、三兆一千六百十億円となっており、このうち二兆五千四百四億円に上る過去債務については、いわゆるたな上げ措置を講じましたが、五十四年度末における累積欠損額は六兆一千五百四十二億円に達するとともに、長期債務残高は十二兆七千七十三億円に及ぶものと見込まれています。

 

 続く

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国鉄があった時代 JNR-era

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 ****************以下は、本文になります。***********************

 第87回国会 参議院 運輸委員会国鉄問題に関する小委員会 第1号 昭和54年5月30日

 

昭和五十四年五月三十日(水曜日)
   午後一時三分開会
    -------------
 昭和五十三年十二月二十二日運輸委員長におい
 て本小委員を左のとおり指名した。
                江藤  智君
                高平 公友君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                青木 薪次君
               目黒今朝次郎君
                太田 淳夫君
                内藤  功君
                柳澤 錬造君
                山田  勇君
 同日運輸委員長は左の者を小委員長に指名し
 た。
                安田 隆明君
    -------------
   小委員の異動
 十二月二十二日
    辞任          内藤  功君
 十二月二十六日
    辞任         目黒今朝次郎君
 三月二十日
    辞任          柳澤 錬造君
 三月二十九日
    辞任          高平 公友君
 五月十日
    辞任          青木 薪次君
 五月三十日
    辞任          太田 淳夫君
 同日
    補欠選任        高平 公友君
    補欠選任        青木 薪次君
    補欠選任        穐山  篤君
    補欠選任        三木 忠雄君
    補欠選任        内藤  功君
    補欠選任        柳澤 錬造君
    -------------
  出席者は左のとおり。
    小委員長        安田 隆明君
    小委員
                高平 公友君
                山崎 竜男君
                青木 薪次君
                穐山  篤君
                三木 忠雄君
                内藤  功君
                柳澤 錬造君
                山田  勇君
   小委員外委員
                広田 幸一君
   政府委員
       運輸政務次官   林  大幹君
       運輸省鉄道監督
       局長       山上 孝史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       小粥 正巳君
       文部省大学局学
       生課長      石井 久夫君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
       日本国有鉄道常
       務理事      吉武 秀夫君
       日本国有鉄道常
       務理事      加賀山朝雄君
    -------------
  本日の会議に付した案件
○国鉄の財政再建等に関する件
 (国鉄の財政再建等に関する諸問題)
    -------------
○小委員長(安田隆明君) ただいまから運輸委員会国鉄問題に関する小委員会を開会いたします。
 まず、小委員の異動について御報告いたします。
 本日、欠員中の小委員の補欠として穐山篤君が選任されました。
 また、本日、太田淳夫君が小委員を辞任され、その補欠として三木忠雄君が選任されました。
    -------------
○小委員長(安田隆明君) 国鉄の財政再建等に関する件を議題といたします。
 この際、運輸政務次官及び日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますので、順次これを許します。林運輸政務次官。
○政府委員(林大幹君) 本日は、国鉄の再建に関する当面の課題について御討議をいただき、いろいろ御意見を伺う機会を得ましたことを感謝いたします。
 まず国鉄の輸送の現況について御説明申し上げます。
 国鉄をめぐる輸送環境は非常に厳しいものがあります。たとえば、国内旅客輸送に占める国鉄のシェアを人キロで見ますと、昭和三十五年度には五一%であったものが、四十年度には、四五%、五十二年度には二八%となっています。貨物輸送においても国鉄のシェアは、トンキロで三十五年度には四〇%であったものが、四十年度には三一%、五十二年度には一一%と著しく低下しております。このように国鉄は、国内輸送におけるかつての独占的な交通機関から一競争交通機関へと性格を変えてきております。
 これを都市間旅客輸送について見ますと、東京~大阪間においては、国鉄の輸送量が減少を続けている反面、航空、自動車の輸送量が伸びております。東京~大阪間よりさらに遠距離の東京~札幌間などは、航空のシェアが圧倒的に大きく、国鉄はわずか数%のシェアを占めるにすぎません。このように特に中長距離の輸送区間においては国鉄の競争力が弱まり、シェアは低下し続けております。
 以上のような厳しい輸送環境のもとで、国鉄の経営状態は深刻な状態になっております。国鉄は三十九年度に単年度で赤字になって以来赤字額は増加を続け、四十六年度には償却前で赤字となり、石油ショック以後急激に赤字額が増大しております。この結果、助成前の実質欠損額は、五十二年度は九千九百二十五億円となっております。また、五十三年度補正予算では、同じく実質で一兆一千二百八十二億円、五十四年度予算では一兆一千九百八十二億円の欠損を見込んでいます。また、累積欠損額で見ますと、五十年度までの累積欠損は、三兆一千六百十億円となっており、このうち二兆五千四百四億円に上る過去債務については、いわゆるたな上げ措置を講じましたが、五十四年度末における累積欠損額は六兆一千五百四十二億円に達するとともに、長期債務残高は十二兆七千七十三億円に及ぶものと見込まれています。
 このような危機的な国鉄経営の現状を打開し、その再建を達成するためには、国鉄の業務全般について抜本的な対策を講じていく必要があります。このため、政府としては、すでに御承知のように、五十二年十二月二十九日「日本国有鉄道の再建の基本方針」を閣議了解しております。
 この基本方針においては、「国鉄自身の徹底した経営改善」、「適時適切な運賃改定」及び「国の行財政上の支援」を三本柱として、五十三年度及び五十四年度中に所要の対策を確立し、五十五年度以降には健全経営を回復し、五十年代に収支均衡を達成することを目標としております。
 まず、「国鉄自身の徹底した経営改善」については、国鉄は、五十二年四月に策定した経営改善計画に基づき、業務運営全般について、設備の改良、作業方式の改善等により経営の効率化を進めるとともに、特に赤字要因の中心的課題である貨物の合理化については、五十三年十月の全面的なダイヤ改正において、列車本数の削減、貨物駅の廃止等大幅な合理化を進める等、不採算部門における計画的な経営改善の措置を講じているところでありますその結果、五十四年度予算においては、予算定員五千人を削減するなどの合理化に努めているところであります。
 しかし、再建の基本方針にのっとり国鉄の再建を実現するためには、さらに徹底的な経営改善が不可欠であり、これが、他の再建の大前提とならなければならないものと考えております。
 そのような観点から、昭和五十四年度において要員合理化をも含めた経営改善計画の全面的見直しを行い、大量の退職者が発生する昭和五十年代を通じて要員の合理化を推進し、退職者の後補充を極力抑制する等により徹底した経営改善が行われるよう指導していく所存であります。
 このため、遅くとも六月中には、経営改善計画の全面的見直しについての国鉄としての具体的な案を運輸省に提出するよう国鉄に指示しておりますが、具体的な合理化内容については、たとえば設備投資の抑制、新幹線に並行する在来線の夜行列車のあり方の再検討、低利用地等の資産の積極的処分等、従来からの惰性に流れず、抜本的な見直しを行うよう求めております。このような検討の結果提出された国鉄としての案について、運輸省として適切な調整を行った上、八月末に取りまとめる昭和五十五年度概算要求に盛り込み、来年度予算に反映させたいと考えております。
 次に、国鉄の収支が少なくとも現在以上に悪化することを防止するため、物価等の上昇による経費の増加見込み額を超えない範囲で適時適切に運賃改定を実施することとされています。
 このような基本方針の考え方及び運賃法の趣旨に基づき、五十四年度国鉄予算においては、当初の要求段階で四月一日実施により千九百億円の増収を見込んでおりましたが、物価、国民生活の安定、他の公共料金の改定の動向等に配慮し、改定時期を約五十日おくらせた五月二十日実施とし、運輸審議会の答申に基づき、通学定期の割引率是正については、申請案の三・五%を二%に修正した上実施したところであり、これにより本年度千六百十一億円の増収を見込んでおります。
 しかし、輸送需要の動向、他の交通機関との競争関係等から見て、従来と同じような方式による運賃改定は限界に近づきつつあり、今後の運賃改定において所要の成果を期するためには、改定の内容について運賃制度のあり方を含め、再検討を行うことが必要であろうと考えております。
 最後に、「国の行財政上の支援」については、さきに述べたこの経営改善計画の見直しを前提として徹底した経営改善を行ってもなおその経営負担の限界を超えると認められる、いわゆる構造的欠損に対する公的助成を含む所要の対策に関し、やはり国鉄としての考え方を六月までに明らかにし、これを踏まえて、昭和五十五年度の予算に反映させることとしているほか、国鉄がその経営を改善し、健全経営を維持していくための所要の行財政上の支援を行うこととしております。
 この構造的欠損のうち代表的な事項である国鉄ローカル線対策については、去る一月二十四日に運輸政策審議会の国鉄地方交通線問題小委員会の報告がまとめられておりますが、現在、この報告の趣旨に沿って所要の措置を検討しているところであり、本年度においても、業務運営の合理化等、当面可能な措置を講じていきたいと考えております。
 なお、鉄道建設公団が建設する国鉄新線についても営業中のローカル線に対する措置に準じ所要の措置を講ずることとしておりますが、当面、本年度予算による工事の進め方について再検討を行っているところであり、これに関し現在関係道府県知事の意見を徴している次第であります。
 以上、国鉄再建の当面の課題について御説明申し上げましたが、その中心となるべきものは、何といっても国鉄自身の徹底した経営改善努力であります。そのためには、まず、経営の危機的状況に対する役職員の認識を徹底することが肝要であるとともに、再建の基本方針にもあるとおり、速やかに労使関係の正常化を図り、相互の十分な理解のもとに相協力し、全力を挙げて再建に取り組む体制を確立する必要があります。このため、運輸大臣としては、当局側だけでなく、各組合の代表者とも懇談し、再建に対する協力、違法ストの自粛を求めるとともに、国鉄監査委員会の監査委員の一人として労働組合の代表を任命する用意があることを提案しております。
 いずれにいたしましても、委員の皆様方を初め、関係各位と十分御相談申し上げながら、五十四年度中にその他の具体的な対策を確立し、基本方針にのっとり、五十年代中に収支均衡の回復を達成し得るよう最善の努力を尽くしてまいる所存でありますので、何とぞ御理解と御支援を賜りたいと存じます。
○説明員(高木文雄君) 国鉄再建に関する小委員会をお開きいただきまして、いろいろ御審議をいただき、御批判をいただく機会が参りましたことは大変ありがたいことでございまして、心から感謝をいたします。
 私どもの再建につきましては、先生方よく御存じの五十二年十二月の閣議了解によりまして、今年中に再建の基本方針を私どもが作成をするということになっております。私どもの本年の仕事はこの基本方針に述べられておりますとおりに、再建のめどを立てることであるというふうに考えております。この基本方針におきます財政再建の仕組みは、まず第一に現在以上の赤字の増大を防止するために、毎年の経費増分については運賃改定によって賄ってもよろしいと言われておることでございます。五月二十日からこの新しい仕組みによる第二回目の運賃改定をさせていただいたばかりでございますが、この運賃改定につきましては、今回も国会を初めとして運輸審議会や物価政策安定会議あるいは私どもの私的な諮問機関でございますところの運賃問題懇談会など、いろいろな場において御意見を賜りました。
 こうした御意見を賜っておりますことを通じまして特に感じましたことば、運賃改定を行う前に再建のめどをもっと国民の前に明らかにするということが先ではないかという御意見であるとか、国鉄自身の努力がまことに不十分ではないかといった御批判が非常に強いということをいまさらながら深く感じ入った次第でございます。さればこそ、再建のめどを本年中にはっきりとつけるということの必要性が大きいということを痛感した次第でございまして、何とか来月、六月中をめどとして策定することでただいま鋭意努力をいたしております。
 運賃の改定に関連して賜りましたもう一つの御指摘の点は、このように毎年運賃改定をすればますますいわゆる国鉄離れが進むということになるのではないかということでございます。今回の改定では、普通旅客運賃につきまして従来の二地帯別の賃率を三地帯別にするというなど、まあ私どもなりに工夫をしているわけでございますけれども、現行の運賃制度のもとではもうすでに増収を期待しても限界があるのではないかということが強く言われておりますし、私どもとしてもそうした気持ちを次第次第に持っております。そこで、いまの運賃の立て方、仕組みということについてさらに研究を深める必要があるということでございまして、現在私どもの内部におきましてそうした点を研究をいたしております。
 いずれにいたしましても、国鉄を一つの事業として考えます場合に、収入の確保は基本的な課題であるわけでございます。こうした厳しい条件になってまいりましたということについては、私ども自身非常に憂慮、心配をいたしておるところでございます。
 第二番目に、現にある赤字についてどうするかということでございますが、これは増収や近代化、合理化などを内容とするところの企業努力と国の行財政上の援助により解消を図るのだということが、いわゆる再建の基本方針で定められておることはよく御承知のとおりでございます。そのうちの私どもの努力につきましては、たとえば「いい日旅立ち」といったキャンペーン運動や貨物増送運動あるいは関連事業の拡大などいろいろ増収のための努力はいたしておるわけでございます。また、近代化ないし合理化につきましても、昨年十月二日からのダイヤ改正で、国鉄始まって以来の大規模な貨物輸送力の削減を行いました。しかし、こうした増収運動にいたしましても、近代化、合理化にいたしましても、現状のような状態のままでいいということでは決してございません。五十年代収支均衡のために、今後ますますこれまでいたしてまいりました以上の努力をしなければならないのは当然でございます。ただ、現在抱えている八千億を超える赤字のすべてを国鉄の自己努力だけで解消するということは、率直に申し上げてきわめて困難、あるいはほとんど不可能に近いということでございまして、この点を閣議了解におきましてもお認めいただいて、国鉄経営上の負担の限界を超えると認められる構造的欠損について、国民経済的観点を考慮して公的助成を含む所要の対策を講ずるということを明記していただいております。問題は、この国鉄経営上の負担の限界を超えるというのはどういうものかということでございまして、目下、運輸省御当局とも御相談しつつ、その内容について鋭意検討中でございますけれども、いずれにしましても国鉄の責任はここまでという範囲を明確にしていただいた上で、その部分についての努力を新しい経営計画に織り込み再建に邁進したいと考えております。
 次に、構造的な問題の一つと考えられておりますローカル線の問題でございますけれども、本年一月、運輸政策審議会の国鉄地方交通線問題小委員会の御報告が提出されました。これはローカル線の問題が、国鉄の経営上の問題としてのみ取り上げるのではなかなかむずかしい点が多いというところから、国民経済的視点から、地域の足を確保するという配慮を加えつつ御議論をいただいた結論であると理解をいたしております。この問題につきましては、地域の方々の御関心ははなはだ深いものがございますし、なお、各様の意見が展開されると考えられるわけでございますが、国鉄といたしましても真剣にこのことに取り組みますとともに、従来以上に具体的取り組みが進められ、問題の解決に向かって一歩一歩進んでいくような御議論を期待しているわけでございます。
 今後、国鉄の再建を進めていく前提となりますことは、いろんな意味で国民の皆様方の御支援をいただくこと、そして私どもとしてはそのために運送の安定を一段と進める、そしてサービスの改善を図ることだというふうに考えております。と同時に、輸送の効率を維持しながらコストの低減に努力をいたします。この再建の道を着実に進めてまいりますためには、何と申しましても労使関係の改善を図り、労使の間で信頼関係を築き上げて、全社を挙げて進むということのほかにないと思っておるわけでございますが、国会を初めとして広く国民各位、各層、各地域から御支援をいただき、御助言を賜りますよう切にお願いする次第でございます。
 ありがとうございました。
○小委員長(安田隆明君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○青木薪次君 国鉄経営の悪化という問題については、これはもう国民ひとしく心配いたしておりますし、また、国鉄のいわゆる国民経済に与える役割りというもの、国鉄を一体どう評価するかという問題に私は尽きると思うのでありますが、いままでいろいろと政府も、国鉄当局も、あるいはまたわれわれ国会議員もいろんな提言をし、いろんな知恵を出し合ってまいったわけでありますが、何としてもやはり行政が後追い的性格になるということについては、これはもう否めない事実であったと考えておるところであります。したがいまして、この問題については順次質問をいたしてまいりたいと思っておりますが、先般行いました運賃値上げ、いわゆる名目で八・八%、実質八%という値上げの問題については、従来にないいろんな問題を示唆いたしていると思うのであります。五月二十日に実施されたわけでありますが、すでに十日たちました。このことについて、ひとつ実績についてどうか、総裁にお伺いいたしたいと思います。
○説明員(吉武秀夫君) 五月二十日に運賃を改定いたしまして、その後まだ一週間ほどしかたっておりませんので、確定したことはなかなか申し上げにくいわけでございますが、旅客につきましては、やはり従前と同じように運賃改定の十日ぐらい前から徐々に先買いがございまして、その結果、かなり前に予定収入よりもふえております。その二十日が過ぎましてそれから一週間の経過を見ますと、その分がかなり逆に落ち込むという結果を来しておりますが、現在のところは、いままでの傾向からいたしますと五十一年あるいは五十三年のときと比べましてややそういった先買いの傾向というのは少ないのではないかということであります。しかし相当な先買いがあったことは確かであります。
 それから貨物につきましても、先送りという現象が幾らかございまして、その結果、一部線区で多少の輸送力が逼迫いたしましたが、それに対していろいろ手当てはしたわけでございますが、運賃改定をいたしましてからは、その分が落ち込んだというよりは、いまの景気の実勢とか、そういうものを反映しましてやや落ち込みが低くて、当初の予定ぐらいのところの収入を上げておるんではないかという感じでございます。
○青木薪次君 ことしの運賃値上げによる国鉄の再建のあり方というものについて、いま各方面からの有識者のいろんな意見の中ですでに限界じゃないかというように言われているわけでありますが、この点について総裁はどんなふうにお考えになっていますか。
○説明員(高木文雄君) 今回の改定は、一言で申しまして遠距離は余り値上げ幅を大きくできないということでございまして、それは主として飛行機との関係から言いまして、最近のお客様の動向から言いまして、とても長距離のものについて値上げはできない。またもろもろの料金の改定もかなり限界という感じでございましたので、料金の改定も見送ったわけでございます。その結果、大変申しわけないわけでございますけれども、どうしても近距離のところへ重みがかかったという結果になっております。こうした案をつくりました段階におきましてもかなり、私はまだ経験浅いわけでございますけれども、いままでのときの経験と比較いたしますと、いわば限界に近づきつつあるなという感じを深くいたしたわけでございます。
 今後の問題につきましては、いろいろな経済事情その他によってまた変わってくるとは思いますけれども、一段と、その何といいますか、仮に名目的に改定をしてもなかなかそれが実収につながらないというような危険性といいますか、そういうことを予測されるわけであります。ただ、余りにも現在持っております赤字が大きくて、それを消すためにいろいろ努力もしなければなりませんし、御援助もいただかなきゃならぬわけでございますので、何といいますか、運賃改定をあきらめるといいますか、断念するといいますか、そういうことは、また現実問題としてなかなか、全体の再建のためを考えますとそういう態度をとるわけにもいかないのではないかと。したがって、今後の問題は、現行の全国的な均一運賃制度というようなものに多少手を加える必要があるのではないかというようなことを考えながら、一層いわば芸の細かいやり方をしていかなきゃならぬのではなかろうかという感じを持っております。まだ今般の改定をお認めいただいたばかりでございますので、必ずしも考え方がまとまりませんけれども、一般的に言われておりますように、非常にむずかしい雰囲気ができてきたということを痛感をいたしております。
○青木薪次君 総裁は、非常にむずかしいけれども値上げをしないわけにはいかないだろうと、こういう御答弁だと思います。運輸大臣は、経済情勢が変わったり他の交通機関の運賃が大幅に上がれば別だが、国鉄はもう値上げできる情勢でない、私鉄の値上げは後二年行われないから国鉄も実施するわけにはいかないだろう、五十五年度の概算要求には値上げを盛り込まないつもり、と述べたのであります。で、鉄監局長にお伺いいたしたいと思うんでありますけれども、この運輸大臣の発言を確認されますか。

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