以下は、衆議院 立法情報 >質問答弁情報 >第028回国会 質問の一覧 から引用したものであり、新潟闘争に際して不当労働行為が行われていたのか否かという点について質問した際の主意書と答弁書になります。
新潟闘争は、既に弊blogでも何度かアップしていますが、国労内の革同派によるグループの反動がより大きな動きとなったもので国労本部預かりという形で封じ込めに働くわけですが、当時の局長が強く処分を連発するなどで、地本との対立が起こったことなどもあり、かなりの緊張をもたらされることとなり、一部の報道では不当労働行為が行われていたのではないかという質問が国会でなされていました。
なお、質問している。石田宥全議員は、新潟県選出の社会党左派議員であり、5期務めたと書かれています。
組合側の意向を汲んでの発言も有るかと思われますが、その辺は割り引いて考える必要がありそうです。
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昭和三十三年三月二十四日提出
質問第四号
国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和三十三年三月二十四日
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問主意書
国鉄当局は、新潟地方における国労と第二組合(国鉄新潟地方労働組合)との組織活動に関し、国労に対して次のごとき不当労働行為をなしている事実がある。すなわち
一 新津電修場分会の一部十九名は、さる一月二十八日、第二組合に加入し分会を設立したが、この設立に対し、非組合員である大久保乾電修場長及び小杉事務助役の手もとに第二組合結成準備に対する内容が了知され、かつ、名簿が提出されているなどさきの電修場長及び事務助役が第二組合結成に暗躍している事実がある。これは公労法違反ではないか。
二 さる一月三十一日電修場長は、技工長、主任などを招集し「国労は総評に加盟し、第二組合は加盟していない。総評は生産性向上に反対し全労は賛成している。こうしたことからみて、どちらに所属した労働組合がよいか明白である。」という職務権限以外の言動をなし聴取を強制した事実がある。これは職制の越権行為ではないか。
三 一月二十九日以後国労上級機関役員の労働条件その他組合用務及び調査のために電修場内に入ることを公安職員は、二月二十六日までの期間中拒否し、強制腕力をもつて排除し続けてきたし、さらに、二月二十日午前十一時十五分、地方労働委員会労働者側委員及び午後四時三十三分県人権擁護委員会委員の内情調査を公安職員が、肩に手をかけて入場を一時拒否した事実があるが、なぜに国労上級機関役員の入場を拒否するのか、また何故に右記両委員の内情調査を一時的にせよ拒否するのか。
四 二月十九日、電気部長が休憩時間内における集会を禁止するといつたが、現在もこれが伝承されている。碁や麻雀ならば、よいといつた事実があるが、いかなる権限をもつて休憩時間中の集会を拘束できるのか。
五 昨年九月六日午後二時より各職場の作業を中止せしめ、国労新潟地方本部鬪争批判書なるものをよみ各組合員に意見を求めるという、職制よりの労働運動介入を行つて下部組織のかく乱を計つている事実がある。これは明らかに現場長の職権乱用ではないか。
六 昨年十月組合所属調査表を配布し、神村進助役は、記入提出しない者は昇給に関係するという精神的恐威感を与える言辞を吐き、強制的に署名、捺印、現品添付をさせ、提出せしめた事実がある。この行為は、人権擁護の精神に反するものとして、新潟法務局に書面を具し、調査認定を依頼しているが、政府はどう考えるか。
七 組合役員及び組合活動家は、欠格条項なしでも昇給させられない。すなわち、七月期四名内二名欠格条項、一月期五名欠格条項なし、以上の昇給しなかつた九名の者は組合役員であり組合活動家である。この事実は明らかに差別待遇をなしたものと思うがどうか。
八 新潟地方本部新津車掌区分会首席助役は、指導事掌、教導車掌会議で三名の組合員に第二組合に入るよう強要し、さらに当局が某温泉で忘年会を催した際に、首席助役は、国労から第二組合に勧誘するようにと強要しているし、第二組合結成の中心人物である四名の者が勤務につかず家庭訪問をしているにもかかわらず出務扱いとしている。
また、新津車掌区の野球部慰安会の席上、国労役員に対し、復帰工作をやめるよう強要し、それを拒否した国労役員は一月期の昇給がなかつた事実があるが、いずれも不正事務行為、不当労働行為にほかならないと思うが、どうか。
以上のほか数多くの類似した事実が行われているが、これは、明らかに公労法違反であり、人権無視もはなはだしく違憲行為であつて、企業の正常な運営を阻害するものである。以上各箇条について政府の見解を聞きたい。
さらに、これらの事実を当局は充分調査して、企業の正常な運営を確保する意思はあるか、また、かかる不当労働行為を指示し、かつ、その指令によつて、国労に対し、不当介入、若しくは、差別待遇をなしている職員及び公安職員に対し、政府はいかなる措置を講じているか。以後このような事実が明白になつた場合、政府はいかなる措置を講ずるかを明確にしてもらいたい。
右質問する。
これに対する答弁書が、昭和33年4月1日に返送されています。
以下が答弁書になります。
結論から言えば、不当労働行為はなかったと言う回答になるのですが、まぁこうした公式な答弁の場合、記録として起こらないと言うこともありますが、公式な記録としては不当労働行為がなかったとされている訳で、現時点ではこの資料を信用していくしかないことになります。
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昭和三十三年四月一日受領
答弁第四号
内閣衆質第四号
昭和三十三年四月一日
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
衆議院議員石田宥全君提出国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員石田宥全君提出国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問に対する答弁書
一 新組合の分会設立は一月二十八日であるが、一月二十七日一部職員から「分会結成大会のため二十八日の十五時から半休をもらいたい」旨の届出があり、分会結成の気運のあることは推察していたが、具体的な内容については了知していない。
又組合所属調査表(名簿)の提出されたのは新組合の分会の結成大会終了後の一月二十九日、各個人から提出されたものであつて、事前に提出されたものではない。
従つて電修場長及び事務助役が新組合の結成に当つて暗躍しこれを助成したという事実はない。
二 同電修場においては、毎月一回業務上の連絡打合せのため、職場主任技工長会議を開いているが、一月三十日の同会議の席上、職場主任、技工長に業務管理者として労働問題の認識を深めるために、国労及び第二組合の性格について説明をした事実はあるが、これは業務管理上必要な説明であつて、どちらの組合に所属した方がよいか等の言動を行つた事実はない。従つて職制をこえた行為であるとは考えられない。
三 一月二十八日新組合結成後、国労の新組合員奪還の動きははげしく地本の役員等の説得行動が通常説得の範囲をこえて勤務時間中の職員に対しても行われ業務の正常な運営が阻害されるおそれがあつたので、地本役員等の入場を拒否した。
これに対し地本役員は多数をもつて入場を強要したので二月五日九時三十分から公安職員十名を配置することにし、中には公安職員によつて強制排除された者もでた。
次に二月二十日午前中地労委労働者側委員山田委員(元国労役員)が場長に面会を求めたが場長不在のために、午後来訪されたい旨を伝えたが山口委員は「職権により現場を見る」と言つて入場した(これには助役が同行した。)又人権擁護委員渡辺委員(国労顧問弁護士)は、地本支部役員等数名と同行してきたので直ちに渡辺氏と判別できる状況ではなく、本人の申出により初めてこれを了解し場長室に案内した。従つて地本役員等の入場の拒否は業務の正常な運営確保のために必要な措置と考えられる。又両委員の調査についてはこれを不当に妨害又は拒否した事実はない。
四 一月十九日新鉄局電気部長が技工長高崎某(電修場分会委員長)と会見し職場規律の確立という観点から、業務に対する協力と部下の指導方について努力してもらいたい旨要望したが、この際電気部長は、職場規律をみだし業務の運営に支障を与えるおそれのある場合にあつてはたとえ休憩時間中であつても職場内で集会することを禁止する場合もあるという主旨を述べた。これは組合員の勤務時間外の集会を禁止するということではなく、職場規律を維持するために必要なときは職場内での集会を許可しない場合もあるという主旨である。組合側は実際に構内広場電修場構外等において休憩時間中の職場集会を開催しているがこれに対しては当局側は何等不当な介入をした事実はない。
五 八月中旬頃から九月頃にかけて新潟鉄道管理局で作成した「新潟鬪争の概況」について、その要点を業務研究会の席上説明したことは事実である。電修場組合員もこの鬪争に際して新津駅のピケ等に参加したこともあり場長としては部下職員に今後このような行為をくり返させたくないという配慮から、七月鬪争の状況を説明し、業務の正常な運営を阻害しないように、いましめるとともに、職場規律の維持を職員に徹底させるために、注意を喚起したものであつて、職権の乱用であるとは考えられない。
六 国鉄は「労働組合に所属する者等の確認方について」(三二年七月)という依命通達をもつて各機関の長に対して職員の組合所属別を明らかにするように措置させたが、これは昨年の賃金改訂に当り一時国労と機労との俸給表の取扱を異にしたため、職員の組合別所属を明らかにする必要があり又組合費の控除を行つていた当時、賃金からの控除についての当局側担当者と組合員との紛争をさけ会計事務を円滑にする必要があつたためである。
本調査表について、給料からの控除に必要であるから提出するように命じたことはあるが質問書に記されているような事実はない。
七 国鉄の昇給資金の配布率は昨年七月期本年一月期とも、おおむね九十パーセントないし九十二パーセント程度であり昇給の有資格者のうち欠格条項(組合と話し合い協定を結んでいる)に該当する者を除いて九十パーセントないし九十二パーセントの昇給率となり有資格者全員が昇給するようにはなつていない。
昇給にあたつては本人の勤務成績が重要な要素になるが、これは現場長の判定によつて決めることにしているが正当な組合活動を理由にして故意に昇給させないということはない。本件の場合は昇給しなかつた者の中にたまたま組合関係の者が含まれていたにすぎない。
八 新津車掌区は昨年三十二名の車掌見習の養成を行つたのでその実績検討と将来の対策を研究するために二月六日、七日の両日にわたり教導車掌会議を開いたが会議終了後簡単な会食をしてこん談し、その席上(梅屋旅館)談たまたま組合問題にふれたものと思われるが指摘のような事実はないことが判明した。
又当局が某温泉で忘年会を催した云々とあるが、これは車掌区の内勤者(区長、助役、庶務掛等)の積立金でおこなつた忘年会(十二月二十一日月岡温泉)のことと思われるが、これは年一回職場の有志によるこん談会であり当局の主催するものではない。この席上でも指摘のような事実はなかつたと関係者は申している。
次に第二組合結成の中心人物四人に対して勤務につかなかつたにもかかわらず出勤扱とした事実はない。(年次有給休暇を附与している。これは国労に対しても同様である。)
更に又野球部慰安会の席上で国労役員に対して復帰工作をやめるように強要したことはない。したがつてこれを拒否した役員に対してこの拒否を理由として昇給させなかつた事実もない。
以上のとおり当方の調査したところでは御質問の様な不当労働行為等はないものと考えている。しかしながら不当労働行為とまぎらわしい事実が仮にあるとすれば甚だ遺憾であるので、今後とも管理者側の労働教育についてはさらに力を注ぐように監督するつもりである。
なお、不当労働行為の事実が明白になつた場合は法の定めるところにより措置することは勿論である。
右答弁する。
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下記も併せてご覧ください。
続く
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国鉄があった時代 JNR-era
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昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第1話
昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第2話
昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第3話
昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第4話
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