昨今は、物流問題などでトラック輸送の話が出ていますが、実は今から16年前に高速道路の未開通区間などをの用地を貨物輸送専用の鉄道とすることが計画されていました。
そこには、
- トラックドライバーの人手不足解消、就労環境の改善
- 大型車の事故の減少、乗用車ドライバーの安心感の増大
と言ったメリットがあるとされていました、今こそこうした構想を実現すべき動く時期では無いでしょうか。
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東海道物流新幹線構想委員会
委員長 中村 英夫
1.背景
先般の IPCC の報告を待つまでもなく、温暖化ガスの蓄積による地球環境の変化は紛れもなく現実となりつつある。また、地球的規模で環境問題改善に向けた具体的な骨太の取組が始まろうとしている。こうした動きを背景に本年 7 月の洞爺湖サミットに向け、議長国日本の動きに世界の注目が集まっており、その具体的な肉付けが急がれている。
気候変動問題に対する解決策は個人、企業、自治体、国家それぞれがその界を超えて全知を傾け、CO2 削減に総力を挙げることに尽きると考えるが、とりわけ化石燃料の消費削減については、自動車への過度の依存をどう転換するかが必須の課題であり、運輸部門においては、人流、物流の両面から大幅な排出削減を実現すべく大胆で革新的な政策転換が求められている。
2.「東海道物流新幹線構想委員会」の発足
そこで、わが国において、人流のほか物流部門においても大動脈であり、一大混雑区間である東京~大阪間のいわゆる東海道メガロポリス区域において、世界に例を見ない画期的なモーダルシフト施策の実現に向け、有識者 10 名で構成する「東海道物流新幹線構想委員会」が本年(2008年) 2 月に発足した。
3.東海道物流新幹線(ハイウェイトレイン)の概要
東海道物流新幹線(ハイウェイトレイン)とは、現在の東名・名神高速道路に並行して計画されている「新東名・新名神高速道路の中央分離帯や既着工の使用未確定車線」などを最大限活用し、物流の大動脈である東海道ルート(東京~大阪間)に、最先端の技術を駆使した「物流専用鉄軌道」の開設を目指す構想である。
道路と鉄道、両者の利点を生かし、鉄道の特性(大量・定時性、低環境負荷・省エネルギー等)をベースに、トラックの特性(機動性、利便性等)を取り入れた、「環境にやさしい、利用者のニーズに対応できる新しい幹線物流システム」を構築する。
Ⅰ)基本コンセプト
・新東名、新名神の中央分離帯や既着工の使用未確定車線などを活用
・環境にやさしく、大量輸送に適した、貨物専用・軌道系システムの導入
・自動運転、無人運転とする
・複線電化(第三軌条集電方式)
Ⅱ)諸元(案)
・運行距離 :約 600km
・速度・所要時間:平均時速 90~100km、東京・大阪間 6 時間 30 分
・ターミナル箇所:東京、名古屋、大阪の 3 箇所のほか数箇所
・軌間 :狭軌(JR 等の在来線と同一)
・列車編成 :5 両 1 ユニットを複数連結、1 編成最大 25 両程度 輸送需要によりフレキシブルに対応
・駆動方式 :動力分散駆動、急勾配区間はリニアモータによる支援システムを採用
・輸送力 :三大都市圏相互間で、約 20 万トン/日を想定
・積載貨物 :コンテナ(45ft から 20ft まで)方式
4.期待される効果
この構想による主なメリットは、
- エネルギー消費量の削減
- CO 2 発生量の大幅削減~「地球環境問題の改善に資する象徴的プロジェクト」~
- トラックドライバーの人手不足解消、就労環境の改善
- 大型車の事故の減少、乗用車ドライバーの安心感の増大
- 日本発の技術・システムの展開による世界へのアピール
等々であるが、加えて、道路敷地内に軌道路線を導入することによって、自動車占用の社会資本である道路空間を多機能・多用途化し、幅広い国民的財産としての新しい位置付けを可能にする。
このことは、道路の持つ社会的価値を高めるとともに、環境政策への寄与という側面からも評価されるべきもので、大量輸送が可能な専用軌道への回帰や見直しが進む世界の趨勢に一歩先立つものとして、国家的意味も大きいと考える。
5.最後に
猛暑と暖冬、あるいはその連鎖、反動で起きてくる様々な異常気象、地球温暖化が現実のものとして我々に迫っており、解決の動きはまさに世界を挙げて緊急性を要するものである。
こうしたなか、京都議定書を策定したCOP3 の議長国である日本は、2050 年、CO2半減というメッセージを世界へ発信しているが、環境元年である本年に、遅れている運輸部門において、省エネ・温暖化ガス削減の具体的モデルを提示し、世界に範を示すことも一策である。また、少子高齢化による労働力問題を考慮すれば、将来の総合交通体系、物流システムについて真剣に検討していく必要がある。
国土の狭い日本だからこそ、「道路と鉄道の一体化」を実現できるこの“物流新幹線構想“は、その大きな力になると確信している。
Ⅰ)基本コンセプト
- 新東名、新名神の中央分離帯や既着工の使用未確定車線などを活用
- 環境にやさしく、大量輸送に適した、貨物専用・軌道系システムの導入
- 自動運転、無人運転とする
- 複線電化(第三軌条集電方式)
Ⅱ)諸元(案)
- 運行距離 :約 600km
- 速度・所要時間:平均時速 90~100km、東京・大阪間 6 時間 30 分
- ターミナル箇所:東京、名古屋、大阪の 3 箇所のほか数箇所
- 軌間 :狭軌(JR 等の在来線と同一)
- 列車編成 :5 両 1 ユニットを複数連結、1 編成最大 25 両程度 輸送需要によりフレキシブルに対応
- 駆動方式 :動力分散駆動、急勾配区間はリニアモータによる支援システムを採用
- 輸送力 :三大都市圏相互間で、約 20 万トン/日を想定
- 積載貨物 :コンテナ(45ft から 20ft まで)方式
4.期待される効果
この構想による主なメリットは、
- エネルギー消費量の削減
- CO 2 発生量の大幅削減~「地球環境問題の改善に資する象徴的プロジェクト」~
- トラックドライバーの人手不足解消、就労環境の改善
- 大型車の事故の減少、乗用車ドライバーの安心感の増大
- 日本発の技術・システムの展開による世界へのアピール
等々であるが、加えて、道路敷地内に軌道路線を導入することによって、自動車
占用の社会資本である道路空間を多機能・多用途化し、幅広い国民的財産としての
新しい位置付けを可能にする。
このことは、道路の持つ社会的価値を高めるとともに、環境政策への寄与という
側面からも評価されるべきもので、大量輸送が可能な専用軌道への回帰や見直しが
進む世界の趨勢に一歩先立つものとして、国家的意味も大きいと考える。
5.最後に
猛暑と暖冬、あるいはその連鎖、反動で起きてくる様々な異常気象、地球温暖化が現実のものとして我々に迫っており、解決の動きはまさに世界を挙げて緊急性を要するものである。
こうしたなか、京都議定書を策定したCOP3 の議長国である日本は、2050 年、CO2半減というメッセージを世界へ発信しているが、環境元年である本年に、遅れている運輸部門において、省エネ・温暖化ガス削減の具体的モデルを提示し、世界に範を示すことも一策である。また、少子高齢化による労働力問題を考慮すれば、将来の総合交通体系、物流システムについて真剣に検討していく必要がある。
国土の狭い日本だからこそ、「道路と鉄道の一体化」を実現できるこの“物流新幹線構想“は、その大きな力になると確信している。
東海道物流新幹線構想委員会・委員名簿(2008 年 6 月現在)
委員長 中村 英夫 武蔵工業大学学長・東京大学名誉教授
副委員長 横島 庄治 特定非営利活動法人環境システム研究会理事長
委員 井口 雅一 東京大学名誉教授
枝廣 淳子 (有)イーズ代表取締役・環境ジャーナリスト
岡部 正彦 (社)日本物流団体連合会会長
金田 好生 ジェイア-ルエフグループ経営者連合会会長
杉山 雅洋 早稲田大学商学学術院教授
星野 良三 (社)東京都トラック協会会長
松尾 稔 前名古屋大学総長・名古屋大学名誉教授
三村 光代 (社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会監事
(計 10 名・50 音順)
続く
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