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国有鉄道簡易線建設規程 昭和7年5月28日、鐵道省令第8号


昭和7年5月27日の官報から抜粋したものである。
読みやすくするため、漢字は旧字体から新字体に変更し、単位を漢字からメートル法の表記に変更、カタカナをひらがなに変更しているので、読みづらさは勘弁の程を

簡易線の建設規程が設けられ、最小曲線半径や道床厚さなどを簡素化した簡易線建設規程が定められた。

なお、7月には軌道中心からホームまでの長さが1.4mに短縮された暫定版として建築限界が変更されている

 

鉄道省令第八号    国有鉄道簡易線建設規程左の通定む


昭和七年五月二十七日

       鉄道大臣 三土 忠造

国有鉄道簡易線建設規程

第一条 国有鉄道簡易線線路及車両の構造本規程の定むる所に依る
第二条 本規程に規定せざる事項の国有鉄道建設規程中丙線に対する規定に依る
第三条 本規程を適用する線路区間別に之を定む
第四条 本線路に於ける曲線/860m以上たることを要す
前項の半径は分岐に附する場合に於て100m之を縮少することを得
停車場に於ける本線路にして乗降場沿ふ部分の曲線の半径200m以上たることを要す
第五条 本線路に於ける勾配の35/1000より急ならざることを要す曲線補正は之を爲さざることを得
停車場に於ける本線路勾配其の本線路の最端転轍器(最端?器外が下り勾配なる場合には之ョり外方十mの箇所)の間及ビ列車停止区域於て千分の三・五より急ならざることを要す但車両の解結を爲さざる本線路して列車の発着に支障なき場合は千分の十五に到ることを得
第六条 本線路における軌道の負担力は最大軸重十一トン、最小軸距一千五百mmの機関車が重連して列車を権威する場合直線に於いて一時間四十五kmの速度の運転に耐ふるものなることを標準とす
第七条 軌条は三十トン軌条の80/100の強度を有するものたることを標準とす
[註]本条/規定 30トン古軌条の利用を考慮したるものにして 新軌条を使用する場合には三十トン軌条 採用すペきものとす
第八条 道床の厚は枕木下面より施工基面迄120mmを下らざることを要す但し地盤の支持力大なる場合は100mm迄之を減ズることを得
第九条 築堤又は切取に於ける施工基面の幅(側溝除く)軌道中心より外縁迄1.9m以上たることを要す
第十条 本線路に於ける橋梁の負担力は国有鉄道建設規程第三図に示す標準活荷重KS-10佐るものたることを標準とす
前項負力は特に必要ある場合に於ては特に必要ある場合に於いては同図に示すKS-12依るものとす
第十一条 停車場に於ける列車の発着する本線路の有效長の80mを標準とす
第十二条 旅客を取扱う駅には乗降場。待合所、便所等の設備を為すことを要す
荷物を取扱う駅には必要ある場合に限り荷物積卸場、荷物庫等の設備を為すものとす
〔注〕簡易なる駅設備の例示欄参照

第十三条 乗降場及荷物積卸場の端 より軌道中心迄の距離1.56mたることを要す
前項の距離は曲線にそう乗降場及荷物積卸場に於ては曲線半径800mより大なる場合に於ても国有鉄道建設規程第十九条に準じ之を増すことを要す
乗降場の幅は両面を使用するものは3m以上其の他のものの1.5m以上たることを要す
乗降場及荷物積卸場の高は軌条面ヨリ660mmとす
乗降場に在る柱類と乗降場との距離は1m以上たることを要す
乗降場に在る本屋、跨線橋口、地下道口、待合所、便所等と乗降場端との距離1.5m以上たることを要す
第十四条 本線路入停車場又入信号所に於て相当の保安設備ある場合を除き本線路又は他の鉄道、軌道と平面交叉を爲すことを得ず但し他の鉄道、軌道が人力又は、馬力を動力とする場合に於て相当の保安設備を為したるときは此の限に在らず
第十五条 列車の行違を爲す停車場 場内信号機を設くることを要す
乗降場幅兩面を使用するものは三m以上其の他のものは1.5m以上たること要す
上下列車に対する場内信号機は之を同一柱設くることを得
第十六条 發信号機、閉塞信号機、入換信号機及誘導信号機は之を設けざるを通例とす
第十七条 場内信号機及掩護信号機信号現示をの防護区域外200m以上の距離に於て列車より認識すること能はざる場合該信号機前方相当の距離に於て遠方信号機を設くることを要す但し上り勾配線にして其の必要を認めざる場合は之を設けざることを得
第十八条 相互関係を有する常信号機及器聯動装置と爲すことを容す、但し本線路に関せざるもの、常時鎖錠せらるる転轍器、列車対向通過の際取柄を支持する転轍器、発条転轍器及背向転轍器に付ては之に依らざることを得
第十九条 機関車(炭水車を含む)は之を二両連結し長さ1mに付4トンの等布活荷重を牽引する場合に軌道に対し第六条の負担力、橋梁に対し第十条負担力より大なる影響を與へざるものたることを要す
第二十条 機関車の車輪一対の軌条に対する圧力は停止中に於て11トン以下たることを要す
前項圧力の限度必要ある場合に限り軌道及橋梁負担力範囲内に於て之を増減することを得
第二十一条 客貨車の車輪一対の軌条に対する圧力は停止中に於いて12トン以下たることを要す

 〔注〕簡易なる駅設備の例示欄参照

 



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